1月17日で阪神・淡路大震災から27年。兵庫・神戸市内では追悼行事が行われ、災害への備えもいっそう求められている。
2011年の東日本大震災では、犠牲になった人の半数以上を高齢者が占めた。災害時に手助けが必要な人「災害時要援護者」については、普段の居場所やいざという時の連絡先の共有、支援すべき内容の取り決め、避難生活への配慮など、さまざまな課題が存在する。そこで神戸市では、災害時要援護者を支え合う条例を設け、“地域の支えあい”を進めている。
私たちを襲う災害の1つが地震だ。阪神・淡路大震災は、内陸部・直下型地震と言われ、下から突き上げるような揺れを伴った。一方、今後30年以内に70~80パーセントの確率で発生すると言われる「南海トラフ地震」は、海溝型地震。発生時には、神戸市内で最大震度6弱のゆっくりとした大きな揺れが1~2分間以上続くことや、津波の襲来も想定されている。このような大災害では、特に高齢者や障がいのある人ら災害時要援護者に対する地域の協力が欠かせない。
災害時要援護者とは主に、一人暮らしの高齢者や高齢者のみの世帯、障がい者に加え、難病患者、乳幼児、妊産婦、日本語が話せない外国人。また、時間帯によって家族がそばにいない人や、災害時に負ったケガのせいで避難に支援が必要となった人なども含まれる。
神戸市では、2013年(平成25年)4月1日に「神戸市における災害時の要援護者への支援に関する条例」を施行。普段からの“顔の見える関係づくり”の大切さを呼びかけ、日常的な声かけや見守りを通した、地域全体での要援護者支援の必要性を伝えるなど、“地域の支えあい”を推進している。
ただ、「要援護者」と言っても、必要な支援は個人によって異なる。同市では「災害時要援護者支援のガイドライン」を作り、災害時、要援護者にそれぞれどのような助けが要るのかを紹介している。例えば、介護が必要な人は、避難時に車いすを要する場合があること。また、避難所生活では、食事や排せつ、衣服の着脱などの介助を求める人がいることも…。視覚障害がある人には、音声による情報伝達や介助者が必要で、聴覚障害がある人には、手話や筆談、イラストを用いて情報を伝える、などといったことだ。
さらに同市では、毎年6月に「くらしの防災ガイド」を配布。各地域で、声かけや安否確認の訓練のほか、要援護者を車いすで避難場所まで誘導する「避難誘導訓練」に取り組むなどしている。地域によっては、「無事です」と書かれたタオルを活用した「安否確認訓練」も行っている。避難の際、家の玄関や郵便ポストなどに掛けて家族の無事を知らせる“無事ですタオル”を実際に掲げ、地域コミュニティのスタッフが、その有無で安否を確かめてまわる訓練だ。
社会が高齢化しているなか、災害時には誰もが要援護者になる可能性がある。自身でできることとして、まずは自らの命を守ることを意識したい。そして平常時から「自分でできること」と「自分ではできないこと」を把握しておくと、災害時の早い判断や伝達へと繋がる。