2010年10月に起きた神戸・男子高校生刺殺事件で、殺人罪で起訴された男(29)は犯行当時17歳だったため、実名報道を禁じる少年法に基づき、今後の裁判でも匿名での扱いが続く。
一方、今年(2022年)4月には厳罰化が目的の改正少年法が施行され、18、19歳は「特定少年」として起訴段階で実名報道が可能になり、法務・検察当局が氏名発表の基準を検討している。
少年法では、少年事件は警察や検察が家裁に送致し、家裁の審判で処分を決めると規定。ただ今回のように審判前に成人となっていた場合は通常の事件と同様に検察が処分を決め、起訴されれば公判が開かれる。犯行時18歳未満であれば死刑や無期刑の減軽もある。
また同法61条では更生の妨げになるとの観点から、少年事件での氏名、年齢、職業、住所、顔などの報道を禁じている。しかし、2022年4月から民法上の成人年齢が18歳に引き下げられるのに合わせて改正少年法が施行され、18、19歳の特定少年の氏名や職業など本人の特定につながる「推知報道」が可能になる。
法務・検察当局は特定少年の起訴をめぐり、実名発表する事件を「重大で地域に与える影響が深刻かどうか」で線引きする方針で、裁判員裁判対象事件は発表し、その他は各地検が個別に判断する見通し。