広島でいま、カキ(牡蠣)が旬を迎えている。
広島湾の環境を利用して、カキの養殖が盛んに行われている広島県。島々や岬に囲まれた静かな湾内は、養殖いかだを浮かべるのに適していて、夏には水温が上昇し、秋には水温が低下して、カキの産卵や生育を刺激。周辺の太田川などから流れ込む河川水により、カキの好む塩分濃度が低い層ができ、カキのエサとなる植物プランクトンも豊富だ。
広島県のカキは、全国の生産量の約6割を占め、全国1位。殻は小さいが身は大きくぷりっとしていて、味わいは濃厚。カキの体内においしさのもとになるグリコーゲンが多く蓄えられるという1~2月が旬。冬になると現地に牡蠣小屋が登場。そこでは生ガキを自分で網の上で焼いて食べることもできる。
焼いても蒸しても生でも食べられる広島のカキ。冬は、広島の郷土料理「カキの土手鍋」がおすすめだという。カキや白菜、白ネギ、春菊などの野菜、豆腐、だし汁などを鍋に入れ、鍋の内側には味噌を土手のように塗り、味噌の濃度を調節しながら味わう。濃厚なみそがカキに絡み、食をそそる。
広島の生のカキは、11月~3月の期間、通販やスーパー、デパートなどで購入可能。また、広島県がブランドカキとして開発した「かき小町」は、夏に産卵しないため、身が痩せず大きく栄養たっぷりで、一年中、肉厚で、変わらずおいしく味わえる。