歌詞のストーリーはほぼ一緒なんだけど登場人物が「デズモンド」と「モリー」から「太郎」と「花子」に替えられてて、なんとも香ばしい風味になっています。
【橋本】 「太郎が花子をみそめ 好きになったとさ」……私これ好き(笑)。名前を入れ替えたらウエディングの出し物とかにも使えそうですね。
【中将】 金沢明子さんの「イエロー・サブマリン音頭」(1982)も似た路線でちょっとコミカルな仕上がりです。
歌っているのは民謡歌手の金沢さんですが、大瀧詠一さんがプロデュース、松本隆さんが訳詞を手がけているだけあって遊び方がお洒落なんですね。ポール・マッカートニー公認というお墨付きまでもらっています。
【橋本】 日本の伝統音楽を取り入れてカバーしようというのが面白いですね。盆踊りで踊りたくなっちゃう。
【中将】 企画的にも音楽的にもよくできたカバーなんですが当時の一部のビートルズマニアからは批判もあったそうです。
【橋本】 ファン心理は複雑ですよね……。
【中将】 自分が好きなもので遊ばれるのが嫌なんでしょうね。カバーするアーティストとしては面白くしたり自分の味を付け足してナンボなんですが……。
原曲を遊びまくって跡形もなくした珍カバーも多いですが、代表的なのはブルースのスタンダードナンバー「セントルイスブルース」をカバーした林家木久蔵(現・林家木久扇)さんの「いやんばか~ん・・・・」(1978)でしょうか。
恋にやぶれた女の切ない思いを歌った原曲の歌詞を一切無視して、暗闇の中で行為に及ぼうとする男女の歌に仕上がっています。