監督は『ノッティングヒルの恋人』で知られるロジャー・ミッシェル。2021年9月に65歳で亡くなり、これが長編最後の作品となりました。
ストーリーの背景として、イギリスが抱える格差や貧困の問題が描かれています。実在した主人公・ケンプトンは、社会的弱者やお年寄りのために活動していたそうです。高齢者が社会とつながるためにはテレビが必要だ、として公共放送のBBCが無料になるよう市民運動を繰り広げました。
今作の大きな魅力は、イギリス人の生活に溶け込んだ皮肉まじりのユーモラスな会話です。映画の後半に、逮捕されたケンプトンが窃盗や脅迫などの罪で裁判を受ける場面があって、裁判官とケンプトンのやり取りが法廷に集まった傍聴人や陪審員を爆笑させます。このシーンが大きなヤマ場になっています。ヤマ場の前後で事件の真相が明らかになるのが大きなサプライズです。
特別な能力は何もないけれど弱者の味方になりたいとして優しさを発揮したイギリスのおじさんの物語。『ゴヤの名画と優しい泥棒』は2月25日(金)公開。(SJ)
◇映画『ゴヤの名画と優しい泥棒』(原題:THE DUKE)
※上映日程は、作品の公式サイト・劇場情報でご確認ください。
出演:
ジム・ブロードベント ヘレン・ミレン フィオン・ホワイトヘッド アンナ・マックスウェル・マーティン マシュー・グード
監督:ロジャー・ミッシェル
配給:ハピネットファントム・スタジオ
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