民間から発信する“深さを持った演劇のまちづくり” 「豊岡アートアクション」の実践に期待される「効果」とは? | ラジトピ ラジオ関西トピックス

民間から発信する“深さを持った演劇のまちづくり” 「豊岡アートアクション」の実践に期待される「効果」とは?

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 去年2021年6月に、前豊岡市長の中貝宗治さんが設立し、理事長を務める「一般社団法人 豊岡アートアクション」。これまで市民講座やシンポジウムを開催し、演劇がもたらすコミュニケーション能力の向上、人間関係構築力の強化を市民に体感してもらう機会を設けてきた。

 このたび中貝さんが、ラジオ番組『平田オリザの舞台は但馬』(ラジオ関西、木曜午後1時~)に出演。豊岡アートアクションが掲げる「深さを持った演劇のまちづくり」が意味するところを語った。同番組は、演出家・劇作家で、豊岡市にある「芸術文化観光専門職大学」の学長の平田オリザさんがパーソナリティーを務めている。

「一般社団法人 豊岡アートアクション」理事長の中貝宗治さん

 まず中貝さんは、「演劇が持つ、得体のしれなさに惹かれているんです」と、切り出した。“演劇のまち”と聞くと、ほとんどの人が「たくさんの劇場があって地域の人々が演劇を楽しんでいるまち」を思い浮かべるだろう。だが、豊岡アートアクションが目指す「深さをもった演劇のまちづくり」はそうではない。期待しているのは、そうしたパフォーミングアーツが、教育分野や観光分野、医療分野など、さまざまな分野にあふれだしていく“転移効果”だという。

 相手の立場に立って考える、という「共感力」が医療現場に与える事例もある。「例えば、認知症の方は別の世界が見えている。それを正そうとすると本人には大きなストレスがかかります。いったん、その世界を(周りの人が)“共有”することによって負荷が軽減され、薬の量が減ったというデータもあります」(中貝さん)

 また豊岡アートアクションは、移住した学生らを対象に、年に3回程度一緒に食事をしたり、相談事の窓口になったりする「豊岡ファミリー」という取り組みも始めた。学生のみならず、自分の挑戦を豊岡で試したいという若者が増えていることもあり、移住する若者への具体的な支援といえる。

 今後も、断続的にワークショップを開催しながら年1度のシンポジウムを開き、民間レベルで豊岡を盛り上げていく。同団体を構成する理事11人のうち7人は女性や若者。この活動が、ジェンダーギャップ解消のひとつの実践例になればと期待する。

 「演劇の見方はひとつではありません。答えがひとつではない世界を生きていくという意味でも、演劇は私たちの生きる力を掘り起こしてくれるはずです」と語る中貝さん。その言葉にも「深さを持った演劇のまちづくり」への気付きがありそうだ。

「一般社団法人 豊岡アートアクション」理事長の中貝宗治さん(写真中央)と、番組パーソナリティの平田オリザ(同左)、田名部真理(同右)

※ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』2022年3月3日放送回より


【豊岡アートアクション 公式サイト】

※『ラジコ』では放送後1週間はタイムフリーでの聴取が可能。番組では、平田オリザさんが、ともにパーソナリティーを務める田名部真理さんと、これまでの自身の話しや演劇界への思い、移住拠点となっている兵庫・豊岡、但馬地域について、トークを進めていく。

『平田オリザの舞台は但馬』
放送日時:毎週木曜日 13:00~13:25
放送局:ラジオ関西(AM 558khz / FM 91.1mhz)
パーソナリティー:平田オリザ、田名部真理
メール:oriza@jocr.jp

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平田オリザの舞台は但馬 | ラジオ関西 | 2022/03/03/木 13:00-13:25

放送後1週間聴取可能、エリア内無料 radikoプレミアム会員はエリア外聴取可

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