新型コロナウイルスの影響で3年連続で開催中止となった「世界遺産・姫路城マラソン(本来は2月27日開催)」。 その沿道の書写山麓(兵庫県姫路市)の菜の花畑に、今年も巨大文字アートが出現、鮮やかな黄色に浮かび上がった。(※記事中写真は「夢前ゆめ街道づくり実行委員会」提供)
姫路市夢前(ゆめさき)町玉田地区の地域おこし・町おこしグループ「夢前ゆめ街道づくり実行委員会」が2020年から始めたプロジェクト。
約7.5へクタールの畑に浮かび上がる、1文字あたり約30メートル四方の「照于一隅(しょうういちぐう)」の文字。広大な菜の花畑を見渡せる書写山円教寺の前住職、大樹孝啓・第258世天台座主(97)が揮毫(きごう)した。風に揺れる菜の花に囲まれ、柔らかい陽射しに照らされている。
この言葉は「一隅を照らす 此れ則ち国宝なり」という伝教大師・最澄(767〜822)の『山家学生式(さんげがくしょうしき)』の冒頭の言葉で、社会の隅々から世界を照らすことによって、一人ひとりが輝きあうことができれば、素晴らしい世界になる」と説いている。
この広大な畑に、昨年(2021年)11月、地元の高校球児たちが駆け付けた。元気いっぱいの東洋大付属姫路高校(兵庫県姫路市書写)の野球部員55人。3月18日に甲子園球場(兵庫県西宮市)で開幕する選抜高校野球大会に出場する(14年ぶり8回目)。
部員たちは文字の部分だけを刈り取る作業を手伝った。ぬかるんだ畑での作業は足を取られがちだが、日頃の練習で鍛えられた足腰の強さで一丸となって取り組んだ。ロープで文字の輪郭を囲い、内側を刈り取って石灰をまき、半日で完成させたという。