【図1】は東日本大震災発生前の地殻変動(水平変動量)を示したものである(※以下、【図1~3】は第五管区海上保安本部提供)が、海側のプレートは1年に8~9センチ陸側のプレートの下に潜り込んでおり、それに伴い陸側のプレートも2~4センチ本州側(東北地方)に変動し、東北地方も西北西(大陸側)に変動している。しかし、【図2】のように地震直後、震源近くの陸側のプレートは24メートルも反対側の沖方向に変動している。陸側を見ると牡鹿半島では5メートル変動しているが、その後1年間に最大6センチの変化が観測されており、この図では表示していないが本震から7年後では6メートルを超えて変動している。
【図3】は地震発生から3年後の変動を示したものである。陸側のプレートは地震発生のように西北西に変動しているが、東北地方は沖側に大きく変動している。地震直後は大きく変動したが、現在も変動してはいるものの変動量は少なくなっている。上下変動量を見ると、牡鹿半島では1.2メートルも沈降したが、本震後では1年間に約5センチ隆起しており、2017年では約70センチの沈降となっている。
こうして地震によって引き起こされる様々な現象を見ると、普段から相当高い意識を持って地震への備えが必要になる。地震は明日起こるかもしれない。備えることが大切なのは言うまでもない。
自然現象は100%全く同じことが起こることはないだけに、単に伝え聞いただけ、過去に学ぶだけでは対応できないことがある。実際に地震が起こると自分自身で行動を判断しなければならない。訓練していても実際には対応できないことが多々ある。
ソフト面としては、普段から今自分のいる場所で地震が起きたらどう対応したらいいかを想像力を持って考えることが重要である。例えば、繁華街のようなビルのある所ではガラスのシャワーが降り注ぐかもしれないから、頭に鞄等を載せたり上着を被ったりしてガラスのある箇所から離れる。地下街を歩いているときに地震が起こり、自家発電機が故障して暗闇になり前が見えなくなる危険がある。その時は壁に手を当てて進み出口をさがす。そして、地震直後は一次避難として公園のような広い土地に避難し、その後二次避難として市町で指定している場所(グラウンドがあることから学校の敷地が多い)に避難する。自宅を出て避難するとき、のちに漏電火災が起こる可能性もあるのでブレーカーを落として避難する。「いざ地震」、瞬時にこのようなことが判断、行動に移すことができるだろうか。
ハード面の対応としては、家具の固定など比較的簡単にできることを再確認すること。建築基準法は1981年(昭和56年)と2000年(平成12年)に大きく改正された。特に1981年以前の建物は耐震性が劣る。個人宅の場合、木造ならば建物の耐震性を高める斜め方向の部材「筋交い(すじかい)」を入れるとよい。鉄骨造の建物ならば「ブレース」。これはそれほど費用をかけずにできる。筋交い・ブレースを入れるだけで耐震性は大きくなる。