サッカー・J1のヴィッセル神戸は、15日、アジアクラブナンバー1を決める大会・ACL（AFCチャンピオンズリーグ）の本戦出場をかけたプレーオフで、オーストラリアのメルボルン・ビクトリーと対戦する。キックオフ予定は午後7時、会場はホームの神戸市御崎公園球技場（ノエビアスタジアム神戸）。
「アジアNo.1クラブ」を目標に掲げるクラブは、昨シーズンのJ1で3位となり、今年は2度目となるACLへの挑戦権を得た。今シーズンはJ1リーグ戦でここまで3分け3敗と未勝利。主軸FW武藤嘉紀選手の負傷離脱などもあり、苦しい戦いが続くが、グループステージへの登竜門となるプレーオフは絶対に負けられない戦いになる。「リーグ戦でなかなかいい結果を出せていないですが、我々の目標はACLをしっかり取ること」という三浦淳寛監督は、試合前日会見で、「このACLの試合をきっかけに、我々は浮上していけると思っている。苦しいときこそ本当に1つになるというのがすごく重要。気持ちをしっかり切り替えて、1つになって、明日の試合（ACLプレーオフ）に何が何でも勝ちたい」と、勝利への執念を燃やす。
クラブの公式SNSなどでは大迫勇也選手、ボージャン・クルキッチ選手といった、最近の試合を欠場した選手たちの元気な姿も見られた。彼らの出場について指揮官は明言しなかったが、得点力に課題を持つ最近のチームで、国際経験豊富なタレントの復帰がかなえば、大きな力になるだろう。アンドレス・イニエスタ選手、セルジ・サンペール選手らとのホットラインで、どうにか相手ゴールをこじ開けていきたい。
一方、守備では直近のJ1第4節鹿島アントラーズ戦でも0-2で敗れるなど、複数失点の試合が続くだけに、短期間でいかに改善できるかという課題に直面する。チームを代表して前日会見に臨んだDF小林友希選手は、メルボルン・ビクトリー戦に向けて、「普段、Jリーグで対峙しているようなタイプとは違った選手がいる可能性があるし、そこはやってみないとわからないところもあるが、一発勝負のなかで、相手の得意なカウンターというところで失点はしたくない。攻めているときのリスク管理がすごく重要になると思うので、そこはディフェンスラインだけでなく全員ですが、特に近くの選手たちとコミュニケーションをとって、警戒してやっていきたい」とコメント。菊池流帆選手、酒井高徳選手らとともに、昨シーズンのチームが好調の要因としていた堅守の復活へ、連動した守備の構築をポイントにあげていた。それを実行し、相手を零封できれば、チームに活路が開いてくるはずだ。
チームではイニエスタ選手を中心に選手間でもミーティングを行うなど、「みんなでもう1回まとまってやっていこうという話をした」（小林選手）と、この大事な一戦に向けて結束力を高めたヴィッセル。「本当に結果が一番必要とされているし、リーグ戦でなかなかチームとして勝てていないが、この試合に勝つことで、今後のリーグだったり、ACLに向けて、チームというのはすごく勢いに乗れると思う。そういった意味でも非常に大事な試合になる」と小林選手。4日前に味わったホームでの屈辱は、すぐにホームで晴らしたい。目指すは勝利の二文字のみ。ヴィッセルは、今年の大きな分岐点となるような一戦を、序盤の段階で迎えることになる。
なお、クラブは、アジア初制覇に向けて大切なこの試合にひとりでも多く来場してもらおうと、サポーターズシート来場者先着2,000人限定で「一致団結ハチマキ」プレゼント企画も実施する。そして、この一戦は、楽天グループ株式会社が運営する動画配信サービス「Rakuten TV」で、日本国内で生配信される。視聴には楽天IDの登録が必要で、会員であれば無料で観ることができる。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ラジオ番組『GOGO！ヴィッセル神戸』（ラジオ関西）の電話出演したサッカージャーナリスト・河治良幸さんは、ヴィッセルの現状について、「クリティカルなケガ人が多いのと、一人ひとりのクオリティーは高いが他のチームに比べると連動力が足りていないので、その間（隙）を突かれている。タレント力をいかしきれていない試合が多いと思う」と評する。「基本的には選手間のコミュニケーションが生命線のチーム。ケガ人が主力に出たことでそこがぶつ切りになってしまったところもあると思うが、代わりに出たチャンスを得た選手がよくなってくると、チームにいい競争が生まれるのでは」と、新たなヒーローの台頭にも期待する。
