サッカー・J1のヴィッセル神戸は19日、J1第5節で清水エスパルスとのアウェイ戦に臨む(午後2時キックオフ予定、会場=IAIスタジアム日本平)。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)のプレーオフでは120分の激闘の末に勝利をつかんだクリムゾンレッドは、その勢いで、8連戦最後となる清水戦で、今シーズンのJ1リーグ戦初勝利を目指す。
2月中旬のJ1開幕から、中2日~4日というタイトな日程で試合を行い、そのうち半数以上をアウェイで戦ってきたヴィッセル。途中、主軸FW武藤嘉紀選手が負傷離脱したのをはじめ、けが人にも見舞われたことも影響してか、序盤戦では3分け3敗、勝ちなし。勝点3で暫定17位と、苦戦を強いられている。
11日の第4節鹿島アントラーズ戦で0-2と敗れた際には、ほとんど持ち味を出せず、暗雲も立ち込めたが、15日のACLプレーオフ、メルボルン・ビクトリーとのホームゲームでは、緊張感漂う雰囲気のなか、延長までもつれる大激戦の末に、4-3と勝利。苦しみながらも、サポーターの大きな後押しも力に一発勝負を制し、なんとかACL本大会、グループステージへの道をこじ開けた。
その試合では、キャプテンのMFアンドレス・イニエスタ選手が先制点を奪うなど、鬼気迫るプレーでチームを牽引すれば、けがのため直近2試合を欠場していたFW大迫勇也選手が気迫の2ゴールでチームを鼓舞。これまでの試合でなかなか波に乗り切れなかった新加入組のMF扇原貴宏選手らも途中出場で存在感を見せれば、同じく途中出場のブラジル人FWリンコン選手が決勝点をマーク。今後への光が多く見いだせた一戦でもあった。
ただし、一方で、代償も払うことに。前半途中にチームの要の1人、セルジ・サンペール選手が負傷交代を強いられた。また、イニエスタ選手をはじめ、激戦の疲労度も心配されるところ。「正直いって、選手のコンディションというのはけっこう大変だと思う」と試合前日のメディア対応で述べたのは三浦淳寛監督。FW藤本憲明選手のけがによる長期離脱が発表されるなど、負傷者続出で台所事情は苦しいものの、「本当に踏ん張りどきだと思うので、リーグ戦でここからしっかり結果を出していくため、いまできるものをお見せして、チーム全体で勝利を目指してやりたい」と、指揮官はリーグ戦勝利に向けて闘志を燃やす。
この試合も総力戦が予想されるヴィッセルだが、そのなかで注目の1人は、MF汰木康也選手。独特のテンポで相手を切り裂くドリブルを持ち味とする背番号16は、今年からヴィッセルのユニフォームに袖を通し、即戦力として期待されるも、序盤戦ではヴィッセルの戦いになかなかハマらず、苦しんだ1人。しかし、ACLプレーオフでは得意の左サイドで躍動し、リンコン選手の決勝点も好アシストするなど、チームの勝利に大きく貢献した。
「正直まだ完全にフィットしたとは思っていない」という汰木選手だが、「アシストという結果を残せたことに関して、ホッとしているというわけではないが、これで1つ、自分のプレーに余裕が出ればいいなと思っている」と前を向く。「チームメイトからボールを預けたらなんとかしてくれると思ってもらえるような、ゴールにつながる仕事、そういうところを増やしていかなければいけない」という26歳は、これからのチームの浮上のためにも欠かせないピースの1人。そのドリブル、パス、そしてゴールに、期待せずにはいられない。
一方、ACLプレーオフではカウンターやセットプレー絡みで計3失点。またしても守備の課題が浮き彫りとなった。今回の試合でも、相手の清水にはU-21日本代表FW鈴木唯人選手ら、カウンターからゴールを奪えるストライカーが揃うだけに、相手の速攻への対策は急務。そして、セットプレーの守備も立て直したい。「清水はチーム全体としてまとまって戦ってくるチームでもあり、個人に能力のすごく高い選手もいるので、そこは僕たちも警戒しないといけない」とDF初瀬亮選手も気を引き締める。
