美輪明宏、カルーセル麻紀、ベティらが歌った昭和の「LGBT歌謡」とは? 日本のゲイ、ニューハーフ文化を築いたレジェンドたちが歌う名曲の数々を、シンガーソングライター・音楽評論家の中将タカノリと、シンガーソングライター・TikTokerの橋本菜津美が、ラジオ番組『中将タカノリ・橋本菜津美の昭和卍パラダイス』(ラジオ関西)のなかで一挙紹介した。
【中将タカノリ(以下「中将」)】 昭和の芸能を語るうえで、「ゲイ」「ニューハーフ」などと呼ばれた人たちが果たした役割は非常に大きいと思います。彼ら、彼女らは音楽面でもさまざまな楽曲を残していて、その独特の様式は「LGBT歌謡」とカテゴライズしていい魅力にあふれています。
都市部では戦前からLGBTのコミュニティーが存在していたそうですが、社会的には圧倒的にマイノリティーで、はっきり言うと差別の対象でした。そんなところに颯爽と登場したのが美輪明宏(デビュー当時の名義は丸山明宏)さん。
【橋本菜津美(以下「橋本」)】 私、高校の時に画像を携帯の待ち受けにしてたくらい美輪さんの大ファンなんです! 若い頃から現在にいたるまで、人生に深いストーリーがある人ですよね。
【中将】 長崎から上京して国立音楽高等学校に進学した美輪さんですが、父親と対立して中退。その後、米軍キャンプで歌手活動を始め、三島由紀夫さんや川端康成さんが通った銀座のシャンソン喫茶「銀巴里」の専属歌手になり人脈を広げます。レコードデビューは1957年の「メケ・メケ」。
江戸時代の小姓さんみたいな要素を取り入れたユニセックスなファッションで評判になったそうです。シャンソンを美輪さん自身が邦訳したもので、今の感覚で言うと不適切な表現もあるんだけど、美輪さんが全国的に認知されるきっかけになった歴史的な曲だと思います。
【橋本】 当時の日本ではそうとうインパクトがあったんでしょうね。
【中将】 美輪さんはその後、メディアで同性愛者であることを告白してしばらく人気が低迷してしまうんですが、その美しく知的なイメージは多くのLGBTの人々を勇気づけました。カルーセル麻紀さんもそのひとり。
【橋本】 そうなんだ!