経験した人も多いじゃがいもの緑化。その理由と対策について、一般財団法人いも類振興会(東京都港区)の矢野理事長に聞きました。
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じゃがいもは、緑化と同時に有害成分「PGA(ポテトグリコアルカロイド)」が生じます。PGAの主な化合物としては、α-チャコニンとα-ソラニンがあり、これがエグ味のもととなっています。
じゃがいもは植物学的には茎なので、光が当たれば緑色(葉緑素)になりますが、同時に有害成分を生成してしまいます。毎年のように小学校などで食中毒のニュースが流れますが、未熟なじゃがいもは緑化が起こりやすく、特に子どもにとっては注意が必要です。
PGAは、じゃがいもの芽や緑化した部分に多く含まれます。多量に摂取すると、腹痛、胃腸障害、虚脱、めまい、眠気、下痢、軽度の意識障害といった中毒症状を引き起こします。症状は、摂取した数分後から数日後に現れます。
対策としては、まず購入段階で芽が多いものや緑色になったところがあるじゃがいもは買わないこと、また、購入後は暗くて涼しい場所に保管することが大切です。調理段階では、芽や緑色の部分は皮を厚めにむき、芽や緑色部分の周りも含めて取り除くこと。未熟な小型のじゃがいもを多量に食べないよう気を付けてください。
農林水産省のホームページでも、じゃがいもによる食中毒を予防するための対策・動画マニュアルの掲載や、家庭菜園などにおける栽培シーズンに合わせてSNSを活用した呼びかけを行っています。
・じゃがいもの根茎が地面から外に出ないように土寄せすること。
・大きく育つように芽かきをすること。
・十分に熟して大きくなったものを収穫すること。
・収穫後に乾燥させる際には、長時間太陽の光に当てないこと。
・収穫後は暗くて涼しい場所に保管し、早めに消費すること。
・皮はできるだけむいて調理すること。
・苦味やエグ味のあるじゃがいもは食べないこと。
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日本いも類研究会(東京都港区)会員の浅間和夫さんが監修した「ジャガイモ博物館」(同研究会ホームページ内に収録)によると、「アルカロイドが通常の生イモ100g中に20mg以上含まれていれば、普通の方なら舌で感じられるため、この”ベロメーター”を活用しましょう」とのことです。