【ピンチをチャンスに】神戸の音楽を牽引するライブハウス「チキンジョージ」 息の合った兄弟が乗り越えてきた42年の軌跡 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

【ピンチをチャンスに】神戸の音楽を牽引するライブハウス「チキンジョージ」 息の合った兄弟が乗り越えてきた42年の軌跡

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阪神・淡路大震災で全壊となった“2代目”チキンジョージ。2階の初代から1階に移転してわずか13か月だった(写真提供:チキンジョージ)

 全壊したライブハウスをさら地にして、イチからの再スタートを決意した兄弟を支えたのは「チキンジョージ」の舞台を踏んだ多くのミュージシャンやファン(観客)の存在。「さら地になったチキンジョージに、遠方からミュージシャンたちが激励に訪れてくれたんです。さら地で昼間からみんなで飲み会をしたり、『辞めるなよ』と励ましの声をもらったことで、とても勇気づけられました」(進さん)。

 実は阪神・淡路大震災をきっかけに、震災と同年の5月3日の野外イベントを最後にチキンジョージの廃業を考えていたという。

「『チキンジョージでのライブはこれで終わり』というライブの最後で、お客さんがスタンディングオベーションをしてくれたんです。その姿を見て胸が熱くなり、思わず12月のライブ開催を宣言してしまったんですよ」(進さん)

「翌日から資金集めのために、金融機関だけに走る日々でしたよ」(勝さん)

「チキンジョージ」の児島進さん
「チキンジョージ」の児島勝さん

 その後、進さんと勝さんの息の合った兄弟コンビの努力や周囲の協力もあり、震災と同年の12月1日にチキンジョージを再オープン。新たなスタートをきったチキンジョージにも、多くのミュージシャンや観客が駆けつけた。ミュージシャンたちの「神戸の方々にパワーをもらった」という言葉にも励まされた。

 一方、2度目のピンチは「新型コロナウイルス」。通常であれば、年間250~300公演あるところ、200以上の公演が中止・延期になった。内部の抗菌処理やパーテーションの設置に加え、最大で450人が入る会場の入場者数を100人に制限するなどの感染対策や休業をはさみながら営業を続けていたが、先の見えない状況が続き収益は厳しい状態に。この状況を打開するため、2021年5月中旬にクラウドファンディングを決行。目標の1,500万円はなんと開始2日間で達成し、半月ほどで約4千人から2,600万円の資金が集まり、最終3,000万円まで到達した 。チキンジョージを愛する多くのミュージシャンたちが、SNSやブログなどを通じて活動を広め、その行動が「大好きなアーティストの大切にしている場所を何としても守る」というファンの気持ちに強く働きかけた結果だ。

現在のチキンジョージは4代目。ビルの建て替え工事があり3代目は2005年末で閉店。2008年にビルの地下1階で営業再開(写真提供:チキンジョージ)
これからも神戸の音楽シーンを支え続ける(写真提供:チキンジョージ)

 最近は、「チキンジョージのレトルトカレー」を作ったり、音楽以外の企業とのコラボなどにも取り組み、新たなチャレンジにも意欲的な進さんと勝さん。今後の展望について、「学生時代にバンドをやっていたリタイア世代が、再度バンドを結成してライブができる環境を提供すること」(進さん)、「コミック・バンド『クレイジー・キャッツ』の『クレイジー・ナイト』のような神戸でしか見られないイベントをミュージシャンと一緒に広めていきたい」(勝さん)と、それぞれの思いを語っていた。

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