現在リニューアル工事中の神戸ポートタワー(神戸市中央区)では、今年1月から展開中の「神戸ウォーターフロントアートプロジェクト」の一環として、工事幕に個性的なアート作品を映し出すプロジェクションマッピングを実施している。同タワー完成に向け、2023年春まで毎日実施予定。高さ約80メートルの巨大スクリーンに映し出される映像は、一見の価値ありだ。
プロジェクションマッピングは、神戸市が「神戸を見守ってきたシンボルであるポートタワーの姿が見えない間も、タワーを感じ、またこれをきっかけに、ウォーターフロントエリアに足を運んでほしい」という思いで取り組んでいるもの。午後7時~10時の間、毎時0分と30分に投影される。1回あたり約7分間の演出で、神戸の多様性をアートで表現することをコンセプトに、世界観が次々と変わる作品になっている。
第1弾のコンテンツは「One and only」。姫路城や万博公園の太陽の塔のプロジェクションマッピングなどを手掛ける「シムディレクト・タケナカ」がプロデュースする。映像の中には、国内外で活躍するアーティストBAKIBAKIさんによる“BAKI柄”が随所で使われている。今回のために描き起こした、特徴的なBAKI柄のグラフィックも登場。また、映像に合わせて会場内で流れる音楽は、オリンピックのアーティスティックスイミングの曲も手がける佐藤亘さんが制作した。
中でも見どころは、全長約70メートルにもなるメタリックなマネキンだ。人の全身にセンサーをつけて撮影する“モーションキャプチャー”を使ってポージングし、表現。神戸のファッションをテーマに、これからの若い世代の活躍や、未来、多種多様な個性と力強さをイメージした作品になっている。
「ウルトラマンやガンダムより断然大きいので、ぜひ見に来てほしい」と話すのは、今プロジェクトを企画した株式会社神戸ウォーターフロント開発機構の風嵐陽太さん。プロジェクションマッピングのデザインや投影の実施にあたっては、海に近い屋外であることや、1年以上という長い実施期間、また、暑さや風など自然相手であることが大きな苦労だと語る。チームで知恵を出し合い、投影開始日から日々対応し、改善を続けている。
定時投影の間には、季節に合わせた映像作品もお目見え。現在は「桜・新緑」をテーマした、見た目にも色鮮やかな作品だ。またゴリラがタワーを登っていくという、ユニークな映像も見ることができる。