「一番大きいサイズの畳は『京間(本間)』で、主に西日本エリア(近畿、中国、四国、九州)で使用されています。それより少し小さいのが『中京間』で、主に愛知・岐阜・三重で多く見られます。さらに小さいのが『江戸間』で、東京を中心とした関東地方をはじめ、静岡以北のエリアで使用されています。また地域に関係なく一番小さいのが『団地間』。公団住宅・アパート・マンションなどの共同住宅で使用されており、日本が高度成長期に入って住宅のニーズが高まった頃、多くの団地が建てられたことから生まれた新しい種類です」(担当者)
それぞれの大きさは、畳1枚だとたいした違いがなくても、8帖、10帖と空間が広がるほど、その差も大きくなるのです。
地域によって大きさに違いがある背景には、いくつか理由がありますが、一説に地域によって建築方法の違いが由来しているそうです。
京都を中心とする現在の近畿地方では、畳に合わせて柱を設置し部屋を作る畳割(たたみわり)という設計方法が一般的でした。しかし、江戸時代になると、柱と柱の間の長さに、畳のサイズを合わせる柱割(はしらわり)という方法が採用されるようになりました。これにより、『江戸間』は柱の太さの分だけサイズが小さい、長辺が5尺8寸(176.0メートル)サイズの畳になったのです。
地域によってさまざまな畳の種類やサイズがありますが、不動産広告上の畳数表記は1畳=1.62平米(平方メートル)以上とルールが定められています。畳の大きさは部屋の広さをあらわす単位として利用するため、部屋探しやリフォームをする際は知っておくと役立ちます。
全国畳産業振興会の担当者によると、畳の使用率は年々低下しているといいます。客間として利用されることが多い和室は、以前は多くの家にありましたが、生活環境の変化で不要と考える人が増えてきたため、最近は客間をつぶして家族がくつろぐリビングルームを広く取る家庭も多いそう。
しかし、最近はフローリング床にもかんたんに設置できる「置き畳」など多くの製品が登場。リフォームをしなくても簡単に畳のある空間を取り入れることもできるようですので、今後も時には畳の気持ちよさを感じながら過ごしてみたいものですね。
(取材・文=柴田千恵子 )