成人年齢を18歳に引き下げる改正民法と18、19歳を「特定少年」とする改正少年法が4月1日に施行された。18、19歳が大人の仲間入りをすることになる。 高校生も大人の仲間入りをする。社会や学校とより深く関わる意味を考える機会が与えられるほか、親の同意なくさまざまな契約を結ぶことができ、活動の幅が広がる。
一方、高校生でもインターネット通販で商品を買ったり、有料のオンラインゲームをしたりすることが可能になる。自分の判断で退学届を出すケースも想定される。
18、19歳は民法の「未成年者取り消し権」の対象外となり、契約締結後は限られたケースしか取り消すことができなくなる。悪徳商法の標的にされるだけでなく、商品やサービスの購入に多額のお金をつぎ込む恐れがある。消費者庁や日弁連は消費者被害を防ぐための教材や冊子を作成し、啓発を進める。
18、19歳の消費行動は20代の実態から予測できる。「クレジットカードで限度額まで買い物をして支払えなくなった」といった20代からの相談が、国民生活センターに寄せられている。この種の相談は年々増え、2020年度は7千件を超えた。このほか、買い物の金額に関係なく毎月定額を支払う「リボルビング払い 」など、仕組みを知らずに利用し、多重債務を抱えるリスクもある。
また18歳になった高校生は、自分の判断で中退できるようになる。文部科学省は2019年12月、18歳の退学手続きの際には父母らと話し合いの場を設けるなど、慎重な対応を求める通知を全国の教育委員会に出していた。
■「特定少年」規定と”少年立ち直り”への道は?
罪を犯した18、19歳を厳罰化する改正少年法も4月1日に施行された。成人と同様の刑事手続きをとる検察官送致(逆送)の対象犯罪を拡大した。18、19歳が起訴(略式起訴を除く)された段階で、これまで禁じられていた実名報道が可能となる。
ただし、改正民法では成人年齢が20歳から18歳に引き下げられた一方、少年法では適用年齢の引き下げは見送った。その理由は、成長と発達過程にある少年について、刑罰を科すよりも”立ち直り”のための矯正教育を施すべきとした、少年法の元来の理念と目的を重視する意見が根強かったからだ。
その半面、法務省は18、19歳について「社会で責任ある主体として積極的な役割を果たすことが期待される立場になった」として「特定少年」と位置づけ、17歳以下とは異なる特例を定めた。ただし改正法には5年後の見直し規定もある。