サッカー・J1のヴィッセル神戸は8日、新監督にスペイン人のロティーナ(ミゲル・アンヘル・ロティーナ・オレチェバリア)氏(64)が就任することを発表し、同日朝に記者会見を行った。「このタイミングでヴィッセル神戸を指揮できることは、サッカーからもらったプレゼントだと思っている」と述べたロティーナ新監督は、「ファンに気に入られながらも結果を出せるようなサッカーを構築していきたい」と語り、港町のクラブの再生を誓った。新指揮官のもとでの練習は8日午後からスタート。10日のJ1第8節セレッソ大阪戦で初実戦に臨む。
スペインリーグ(リーガ・エスパニョーラ)ではエスパニョール、ビジャレアルなど数々の名のあるクラブで指揮をとり、Jリーグでも東京ヴェルディ(J2)やセレッソ大阪(J1)を上位に導いた実績を持つ、ロティーナ氏。昨シーズンは清水エスパルス(J1)を率いるなど、日本サッカーをよく知る人物でもある。
昨年11月に清水との契約が解除となった後、「私としては1年もしくは数か月、休息の期間をとろうと、もともとは考えていた。ほかの国のほかのクラブからのオファーもあったが、基本的にはすべてノーと答えていた」という。しかし、慣れ親しんだ日本を気に入っているという名将は、ヴィッセルからのオファーを受け、「ヴィッセルという偉大なクラブからの話、このクラブにいる選手を考えて、サッカーが与えてくれたプレゼントと思った。大きな挑戦だが、大きなチャンスでもあり、一瞬の迷いもなく、すぐにOKという返事を出した」。
ヴィッセルは9試合を終えて4分け5敗と勝ちなし。勝点4で暫定17位と大苦戦を強いられている。そして、セレッソ戦後には、クラブの大きな目標の1つ、アジアナンバー1をかけた戦いであるACL(AFCチャンピオンズリーグ)のグループステージが待ち受け、5月1日までタイで6試合をこなさなければいけないという、タイトな日程が続く。
そのなかでチーム再興という難しいタスクを課せられることになったロティーナ新監督。「ここに欠点を探しにきたのではない。ゼロからチームを作り、明確なアイデアをもたらせれば。守備と攻撃の関係性が重要で、その2つがあってサッカーは成り立っている」と持論を述べるなか、「ヴィッセルはすごく攻撃的なサッカーを好み、ボールを支配してポゼッションすることが好きなチームだと考えている」と、対戦相手として見ていたクリムゾンレッドを分析。そのうえで、「チームが持っているいいところやプレースタイルの特長に、自分たちのやり方をうまくつなぎ合わせることができれば、いいサッカーを展開できるのではないかと思う。そのなかで重要なのは、ファンに気に入られるサッカーをやることと、結果を出すこと。その両方を大事にしたいし、そういうものを構築していきたい」と抱負を述べていた。
そして、ヴィッセルで指揮することになるアンドレス・イニエスタ選手については、「クラブでも代表でもスペインサッカーに多くのものをもたらした選手だ」 と世界的スーパースターをリスペクトしたロティーナ新監督は「彼の最大限のパフォーマンスを引き出さなければならないし、彼がプレーしやすい環境を整える必要がある。(ジョゼップ)グアルディオラやルイス・エンリケなど、トップレベルの監督と仕事をしている選手なので、自分としても責任をもって監督を務めたい」とコメントしていた。
新体制では、トップチームスタッフのヘッドコーチにイヴァン・パランコ氏(42)、フィジカルコーチにトニ・ヒル・プエルト氏(42)といった、ロティーナ氏の右腕となるスタッフが加わる。また、三浦淳寛前監督のあとに暫定的に指揮をとっていたリュイス・プラナグマ氏は、ヤングプレイヤーデベロップメントコーチの職に戻る。
◆永井SD「世間を騒がせてしまったことをお詫び」