兵庫県が進める樹木の伐採をめぐって「切り過ぎだ」との指摘が出ている兵庫県立明石公園(明石市) などの諸問題について、兵庫県の齋藤元彦知事と明石市の泉房穂市長が11日、兵庫県庁で初協議した。
明石公園をめぐっては、明石市の市民グループから「過剰な伐採で、貴重な生態系が脅かされている」との指摘が出ていることなどを踏まえ、泉市長が協議を呼び掛けていた。
県(公園緑地課)によると、樹木の伐採は史跡区域内で2018年度から始まり、公園内の20万本のうち、石垣の周辺などで約1700本が切られたという。
齋藤知事は「兵庫県と明石市との関係は重要であり、これからしっかりと話を進めたい」と述べ、泉市長はこれまでの自身のツイッターや会見での発言の仕方に「言葉が過ぎた点もあった」と話し、「(政策上)一致する点、しない点を明らかにして、一致しない点は今後それぞれの立場で対応するべき」と答えた。
さらに泉市長は、「場合によっては明石公園を、県立ではなく明石市立に移管するというのはどうかということを含めて検討したい」と主張し、自身のツイッターで11日午前、「今日の『初協議』は、前を向いた未来志向で臨みたい。明石公園を、コストを削減すべき“お荷物“と考えるのか、お金をかけて守っていく“大切な空間”と考えるのかで違いが出てくる」とコメントしていた。
兵庫県は、明石公園の石垣が大きな樹木で隠れていたため、景観を良くする観点からも伐採が必要だったとしているが、地元の子どもたちが環境学習で観察していた木まで伐採したことで切り株が目立つようになっていた。齋藤知事は4日に行った現地視察で、あまりにも多い切り株の数を問題視し、伐採をいったん中止するとした。
きょうの協議で、泉市長はこのことに触れ、「(県立公園の在り方を考える検討会を踏まえてではあるが)ご英断に感謝する」と述べた。齋藤知事は「子どもたちのために、安全性を確保しながら残せる自然を残したい」とした。しかし 「市立公園としての移管」については考えておらず、 県が100年以上運営してきたこともあり、 今後も「県立公園」のまま進めたいと回答した。