日々の生活や仕事で毎日忙しく動き回っているあなた、少し立ち止まってゆっくりと流れる時間を過ごしてみませんか。映画『今はちょっと、ついてないだけ』が全国で公開中です。
主人公はカメラマンの立花浩樹(玉山鉄二)。「ネイチャリング・フォトグラファー」として世界の秘境を旅するテレビ番組に出演して人気でしたが、バブル崩壊ですべてを失いました。立花は表舞台から姿を消して15年、ふるさとで必死に働き、事務所の社長(高橋和也)に負わされた借金を返済し続けてきました。すでに40代になってしまいました。

立花の母親(かとうかず子)は入院中で、病院で親しくなった友人・静枝(山村美智)の写真を撮って欲しい、と立花に頼みます。母親は息子がプロカメラマンなのを誇りにしていましたが、立花は長い間カメラを触っていませんでした。立花はこれをきっかけに撮影する喜びを思い出し、もう一度やり直そうと上京します。
静枝の息子・宮川(音尾琢真)はテレビ番組制作会社のプロデューサーでしたが、リストラのため失職し、家庭では妻と娘から邪魔者のように扱われて居場所がありません。酒に酔い、動けなくなった宮川を見かねた立花が助けます。
立花はシェアハウスで暮らしていて、そこには人付き合いが苦手で美容サロンをリストラされた寛子(深川麻衣)も住んでいました。このシェアハウスに宮川は引越します。さらに事務所から契約を切られ復活を望むお笑い芸人・会田(団長安田)もここでの生活に加わります……。


原作は『四十九日のレシピ』で知られる伊吹有喜の同名小説。監督・脚本は柴山健次です。
過去を引きずって生きてきた主人公と、シェアハウスに集まってきた不器用な大人たち。登場するのは人生にへこんだ4人で、胸の中はずいぶん曇っています。その一方でシェアハウスに降り注ぐ太陽の光は眩しく、湖に吹く風はさわやかで、キャラクターの心模様と彼らを取り巻く自然環境が対照的です。
