長男は、有哉さんが遺体で発見される前に、自ら海岸に向かった。「両親と弟が、最後どういう状態で亡くなったのかを知りたくて、自ら足首まで浸かった。私の想像以上に(冷たく)、温度が低かった」と振り返る。
海水温は当時、4度だったともいわれている。「事故の少し前まで流氷があったと聞いているが、冷たさは氷水に近かった」。そうした中で事故が起きたと思うといたたまれない気持ちになった。
そして、「行方不明の乗船者の発見が遅れ、まだ見つかっていない人がいる。海上保安庁や自衛隊、漁師の皆さんが懸命に捜索している。一刻も早くすべての方が見つかってほしい」と心から願っている。
第一管区海上保安本部(北海道小樽市)は2日、業務上過失致死容疑で知床遊覧船の事務所や桂田社長の自宅を捜索した。強制捜査に乗り出したことに長男は「運航会社の安全管理が不十分だった。今後の捜査で何がどうダメだったのか、どうすべきだったのかが明らかになり、今後二度とこうした事故が起きないよう望みたい」と話した。