◆防災分野で活躍! “命を守る”スピーカー
私たちの命を守る分野でも、神戸発のTOA製品は欠かせません。緊急地震速報や津波警報が発令された際、屋外にいる人に危険を知らせるものとして日本全国の多くの自治体で導入されている「防災用スピーカー」。2011年の東日本大震災での津波被害の経験から、防災放送の役割が見直され、従来の2倍以上の距離まで音が届き、はっきりと放送を聞き取ることができる「ホーンアレイスピーカー」が開発されました。
また、火災発生時に避難誘導放送を行う「非常用放送設備」は、1968年に有馬温泉で起きた火災を契機に日本で初めて開発されたもの。消防法の改正にも結び付いた、業界スタンダードになっています。さらに、迅速かつ柔軟なアナウンス放送に役立つ音源作成サービス「多言語放送サービス」も提供しています。
◆宝塚市にある研究開発拠点「ナレッジスクエア」
TOAは、創業から28年後の1962年、生産力増強のため宝塚に新工場を設立しました。その後、研究開発拠点へと成長を遂げました。2020年には、さまざまな人と情報が集い、つながり合うことで、共に新たな価値を創り出す“共創”の場「ナレッジスクエア」としてオープン。さまざまな商品を生み出しています。
壁の外観は、音を伝える「粗密波」を表すデザイン。施設内には、新技術や商品の研究開発はもちろん、グループを支える管理機能、エンジニアリング機能などを担うエリアもあります。 研究開発棟「ココラボ」では、高い専門技術を持った異業種と協業。「音」に特化した研究開発を行う「オトラボ」は、来館者が研究開発風景を見ることもできます。
◆「音」の開発施設
オトラボでは、音響機器の開発が行われています。音の響きを限りなく減らした「無響室」や、スピーカーの耐久力を測る「試験室」、スピーカーやアンプなどを試聴して、その評価を行うサウンドルームなど、さまざまな試験室を備えています。そこにいるのは音響に関するスペシャリスト、開発者たち。特に無響室は、外部からの音を遮断して残響をなくしているため、普段味わえないような音の聴こえ方を体感できます。
◆残響がない部屋「無響室」とは?
無響室は、音響機器開発での実験や測定に使用される、残響がほとんどない部屋です。音は、物が振動することによって発生し、その振動が空気中を伝わり、耳の鼓膜まで届くことで「音」として認識されます。無響室では、壁や床・天井などの反射音が無いほか、外部からの音を遮断して残響をなくしているため、マイクロホンの指向性やスピーカーの音質、音量、周波数特性、ノイズレベルなどを正確に測定することができます。また、いつ測定しても同じ結果が得られる、安定した環境に。
部屋の内側には、グラスウールが入った「楔(くさび)」という吸音材が、上下左右に隙間なく用いられています。また、無響室と外壁のあいだには幅の広い空気層があり、その間を防振ゴムで支えています。こうして外部からの音を遮断することで、残響の無い環境を実現しています。
広報室の玉井淳一さんは「当社では“音を買っていただく”という企業哲学が従業員に浸透しています。そのため、技術・製品には、従業員の“これでもか”というほどの音への熱い思い、こだわりが込められています。こうしたこだわりが、人々に安心や信頼・感動を提供し、自然と笑顔になっていただけることを願っております」とPRしています。
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【放送音声】2022年5月1日放送回
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