サッカー・Jリーグが各クラブの行う社会連携、通称「シャレン!」活動を表彰する『2022Jリーグシャレン!アウォーズ』で、ヴィッセル神戸の『神戸市新型コロナワクチン接種会場の運営協力活動』が「パブリック賞」を受賞した。対象となった取り組みについて伝えるシリーズの第2回。
今回も、ノエビアスタジアム神戸での接種会場運営に大きな役割を果たした1人、楽天ヴィッセル神戸株式会社スタジアム本部スタジアムエンターテイメント部部長の菊地隆之さんに話を聞き、昨年5月から行うスタジアムでのワクチン大規模接種会場の運営で、ヴィッセル神戸が携わったからこその特長や成果について触れる。
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国内では前例を見ないスタジアムに設置されたワクチン大規模接種会場で、すぐに目についたのは、ヴィッセル神戸の選手たちが数多く登場する案内板。なかでも、世界的スーパースター、MFアンドレス・イニエスタ選手が肩を出して接種を受けようとする写真は、メディアでも大きな注目を集めた。また、案内板だけでなく、選手が使うロッカールームやピッチへの入場口など、普段は関係者しか見られないような貴重な場所を、会場づくりにも使用。接種後にはピッチサイドを歩くことができたり、場外でもバス停などの広告に選手が登場するなど、ヴィッセルやスタジアムの持つ資源の魅力を存分にいかしたことも、話題を呼んだ。
独自の設備活用術について、菊地さんは 「病院やビルのような感じの建物ではないですし、せっかくスタジアムまでお越しいただいて接種するなか、他の施設と同じようなつくりや表示にしても何の面白みもないので」と理由を明かす。ワクチン接種という行為はどうしても緊張感、緊迫感が漂うものだが、「少しでもキャッチーなものやポップなものがあると、少しリラックスされると思いますし、見たことがないような場所に入れるというだけでも、特別感を感じていただけるでしょうから」との配慮もいかされている。「ワクチン接種は経過観察の時間があり、15分なり20分なり必ず待機していただかないといけないので、時間もあまり苦にならないような仕掛けを作っていくのは、我々ならではなのかなと。そういった部分も喜んでいただけたかなと思います」。
また、この大規模接種会場を通じて、ヴィッセル神戸というクラブが神戸にあることを初めて知った人々も少なくはなかったよう。「ヴィッセルを知らない人に知ってもらえるチャンスでもあったので、選手にも協力してもらい、表示などに起用させてもらいました。選手にも喜んでサポートしていただきました」。