フットボールクラブならではの創意工夫もあってか、ワクチン接種の来場者からはうれしい言葉もかけられたという。「私が個人的にうれしかったのは、『あっという間に終わったわ!』と言ってもらえたこと。時間にしてスッときれいに流れていたので、そういうお声をいただけたのかな、ストレスを感じずに接種まで進んでいただいたのかなと思いました」。
取り組みの甲斐あってJリーグから表彰されたことについて、「やり始めたときは、こういった賞のことは当然ながら頭には全くありませんでした。ただ、賞の対象にまず選んでいただいて、受賞できたことについては、業務に関わった我々自身もそうですし、楽天、神戸市も含めて、非常にうれしく思います」と語った菊地さん。「社会貢献の仕方ってたくさんあるんだなと、我々自身も気づかされましたし、幅が広がったなというのは間違いなくあるかなと思います。こういうことができるのであれば、ほかにいろんなことにチャレンジできるのではないかという発想はどんどん出てきました」と、地域に根差したノエビアスタジアム神戸の活用へ、思いをめぐらす。
最後に菊地さんは「スタジアムがワクチン会場として市内、県内に周知されて、この周辺を中心にもっと地域の人たちの役に立てられればいいなと思います。ノエビアスタジアム神戸自体も、スポーツやエンターテインメントの拠点の1つではあるとは思うのですが、普段からたくさんの人が集まれるような、新たな神戸のランドマークになれば。そして、それがヴィッセルのさらなるブランディングにもつながっていけばいいなと思います」と今後への抱負を語っていた。
なお、ノエビアスタジアム神戸では現在も3回目接種の運用を行っている。昨年とは異なり、試合開催日は接種を実施していないが、ヴィッセル神戸のホームゲームが行われる際は、接種会場の受付場所を休憩スペースにしている様子も見られるなど、施設をうまく活用しているのも、フレキシブルさのあるヴィッセルならではといえよう。
Jリーグ、サッカー、そしてスポーツに関わる事業が、社会に貢献できることを具現化した、今回の運営事業。今後もヴィッセル神戸がサッカーのみならず、どのような「シャレン!」(社会連携)の姿を示してくれるのか、期待せずにはいられない。