林歳彦氏(会社経営者・環境活動家)と、フリーアナウンサーの田中大貴(元フジテレビアナウンサー)がパーソナリティーを務めるラジオ関西『としちゃん・大貴のええやんカー!やってみよう!!』2022年5月16日放送回では、介護事業にスポーツの視点を取り入れる新プロジェクトに注目し、その担当者に話を聞いた。
番組にゲスト出演したのは、全国で「そよ風」のブランドで高齢者介護事業を展開する、株式会社ユニマット リタイアメント・コミュニティ未来ビジネス開発部の佐々木美佳さん。同社では、新たな介護サービス「イマドキシニア」プロジェクトを進めている。「これまで介護サービスを利用していたのは、戦前・戦後直後生まれがメインでした。しかしあと数年もすれば、テレビやスポーツなどの娯楽を身近に楽しんできた『ポパイ・JJ世代』の方たち(主に1950代生まれ)が私たちの顧客になります。この世代をはじめとした『イマドキシニア』に楽しんでもらえる介護サービスを早く開発したい、そう思ってスポーツに着目したことが始まりです」と、プロジェクト発足の経緯を語る。
介護サービスを利用する顧客の属性変化に伴い、提供するサービスも変容している昨今。その1つのコンテンツとして注目されたのがスポーツだったという。試合などを観戦する楽しさだけでなく、利用者が実際に体を動かすことで機能訓練にもつながるのではという狙いもあると、佐々木さんは明かす。
そして、この「イマドキシニア」プロジェクトの一環として、兵庫県西宮市にある「香櫨園ケアセンターそよ風」では、女子サッカー・プロリーグ「WEリーグ」のINAC神戸レオネッサとコラボ。INAC神戸のトップチーム選手・アカデミー生が参加し、サッカーの動きを取り入れた高齢者のための機能訓練プログラムの共同開発などを行っている。
「選手が実際にトレーニングしている姿を撮影してもらって、そのDVDを利用者と観たり、オンラインで交流したりしている」というのは、香櫨園ケアセンターそよ風のセンター長を務める早坂幸紘さん。「コラボ開始から1年ほどかけて(選手と利用者の)距離も縮まっているように感じます」と、現場の雰囲気に手ごたえをつかんでいる様子だ。他にも、チームグッズを配布することで、利用者の家族にもコラボ内容を知ってもらうよう取り組んでいるのだそう。
「できなくなったことを、再びできるように」。これは高齢者の自立支援に力を入れている同社の理念で、「単に利用者の手足になるのではなく、その人らしい生き方をするには何が必要かを考えてサポートすることを重視しています」と、佐々木さん。「機能訓練は自立支援に欠かせないものなので、できるだけ楽しく取り組んで欲しいですね。そのため、たとえばINAC神戸のプロの選手がサッカーを取り入れて楽しく体を動かせるようにとプログラムを考えてくれています」。
先日にもINAC神戸の選手たちと香櫨園ケアセンターそよ風のオンライン交流会が行われ、そのときはクイズ大会などで盛り上がったそう。「101歳のお客様が一番INAC神戸のことを応援していたり、かつてジャーナリストをしていたお客様が選手に質問したり、すごくいい交流ができていたと思います」と佐々木さん。その会に立ち会った田中アナも「スポーツが介護にもいきる道があるんだと、皆さんに教えてもらいました」と、実感をこめて語っていた。
最後に、今後について「スポーツチームと介護事業のコラボというのは初めての試みなので、これをきっかけに他の拠点にも取り組みが広まってほしいですね」(早坂さん)、「スポーツの力を取り入れた介護は需要が見込まれるため、この取り組みをもっと充実させて“新しい介護”を今後も開発していきたいです」(佐々木さん)と、それぞれが未来への展望を語った。