“シワの修正”もNG 「銀幕の妖精」が貫いた意志の陰に“愛への渇望” 映画『オードリー・ヘプバーン』 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

“シワの修正”もNG 「銀幕の妖精」が貫いた意志の陰に“愛への渇望” 映画『オードリー・ヘプバーン』

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 ほかにも、数々の著名人がオードリーの素顔を語る。写真家のマイケル・アヴェドンやジョン・アイザック、ジバンシィのメゾンのディレクター、クレア・ワイト・ケラー、最後の主演作『ニューヨークの恋人たち』(1981年)の監督、ピーター・ボグダノヴィッチ、遺作となった『オールウェイズ』(1989年)で共演したリチャード・ドレイファスなどなど。

 1961年の『ティファニーで朝食を』のエピソードにはびっくり。オードリーがギターをかかえて「ムーン・リバー」を歌う有名なシーン。彼女の歌がイマイチとの理由でカットされかけたところを、絶対に残して欲しいという強い主張が通ったことで、名曲と共に心に残るシーンになったという。

 そして、『オールウェイズ』は、彼女が観て感動した『E・T』(1982年)のスティーヴン・スピルバーグ監督からのオファーということで、8年ぶりに特別出演したのだが、天国からの使者の役で得た100万ドルのギャラをすべて、自身が国際親善大使を務めていたユニセフに寄付したというのも彼女らしい。

(C)Pictorial Press Ltd Alamy Stock Photo

 このドキュメンタリーの監督は、ヘレナ・コーン。母親がオードリーのファンだったそうだが、彼女自身はオードリーの亡くなった翌年の1994年生まれというから、リアルタイムでは全く接点のない世代。そんな女性の目に、オードリー・ヘプバーンがどんな風に映っているのかにも、興味をもって観た。

 今でこそ、多くの国で女性がいろいろな生き方をチョイスできるようになったが、1950~60年代は、女性はまだまだ自己主張がしにくかった。そんな時代にあって、オードリーは、役作りや衣装まで提案したり、勧められた歯の矯正を拒否したり……。自分の個性や、ありのままの自分を大事にする姿勢を貫き、「人生を重ねてきた結果だから」と、写真のシワの修正にもNGを出したという。

 女優であると同時に、強い女性であり、さまざまなことと闘い続けた一生。恐怖や憎しみが溢れる世界で、愛の重要性のために立ち上がった“闘士”でもあったのだ。銀幕の中で見せる妖精のような、天使のような微笑みの向こうに、強い意志をもって生きた女性、それがオードリー・ヘプバーンだ。

 私の愛読書「オードリー・ヘプバーンの言葉」の中につまった素晴らしい言の葉の中で、一番好きなのはこの言葉。

「この世で一番すてきなことは 笑うことだって本気で思います」

 世界中のすべての人が、笑って暮らせるような日が、早く訪れますように……!(増井孝子)

※ラジオ関西『ばんばひろふみ!ラジオdeショー!』、「おたかのシネマdeトーク」より

『オードリー・ヘプバーン』
5月6日(金)より全国公開!
シネ・リーブル神戸/TOHOシネマズ西宮OS/大阪ステーションシティシネマ/TOHOシネマズなんば/京都シネマほか
※各劇場の上映日程は、作品の公式サイト・劇場情報でご確認ください。
(C) 2020 Salon Audrey Limited. ALL RIGHTS RESERVED.

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