廃棄物の処理及び清掃に関する法律の6条に「市町村は、当該市町村の区域内の一般廃棄物の処理に関する計画を定めなければならない」と記されており、各市町村が個別にゴミの分別を設定しています。
――傘も「普通ごみ」とのことですが、大阪市ではどのような観点で分別を定めているのでしょうか。
本市域内にある唯一の貴重な処分地を可能な限り使用していくために、なるべく焼却し、ごみの量を減らすことに力を入れてきました。(人口が約274万5千人と)大規模な市ということもあり、大阪広域環境施設組合の6か所のごみ焼却工場で処理しています。(※1、2)
大阪市では、(1)普通ごみ、(2)資源ごみ、(3)容器包装プラスチック、(4)古紙・衣類、(5)粗大ごみと、大きく5種類に分けています。これらに当たらないものは、必ずごみ分別表(※3)を見て(そのルールを守った上で)処分をするようにしてください。
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大阪市が傘を「普通ごみ」としている背景には、埋め立て用地の不足と、それに対処するための充実した施設の存在がありました。
対照的とも言えるのが、徳島県上勝町です。人口約1,500人のこの町にはごみ収集車がなく、町唯一の「ごみステーション」に町民がごみを持ち込むシステムを導入しています。
上勝町のごみの分別は、ステーションに持ち込む時点で、なんと13種類。【生ごみ】、【プラスチック類】など大きく分けて13種類で、さらにそこから細かく45種類にまで分けられます。例えば、13種類の分別で【紙類】に仕分けられたごみは、そのあと、新聞チラシ、紙パック(白)、紙パック(銀)、硬い紙芯、シュレッダーくずなど、さらに細分化されます。
そして、13種類の中には「まだ使えるもの」という、他地域では見かけない分別も……。自分では使わないけれど捨てるにはもったいない・再利用できるものを、ごみステーションに持ち込むことができる仕組みです。持ち込みは町民限定ですが、持ち帰りは誰でもOK。しかも無料で持ち帰って構わないとのことです。
じつは、上勝町の細分化された分別は、2003年の廃棄物処理法改正をきっかけに生まれました。町内でのごみ焼却が不可能になったことを逆手に取った上勝町は、日本の自治体として初めて『ゼロ・ウェイスト』を宣言。以来、ごみ(廃棄処分)の排出量をゼロにしようと取り組んでいることから、分別の種類が多いのだそうです。
ごみの分別ルールから、地域の事情や設備、考え方まで分かるのは面白いですね。あなたも一度、お住まいの地域がごみをどのように分別しているか、じっくり見てみてはいかがでしょうか。
※1 大阪広域環境施設組合は、大阪市、八尾市、松原市、守口市で構成する一般廃棄物の処理・処分を行う一部事務組合であり、全7か所あるごみ焼却工場のうち住之江工場は更新工事中のため、2022年5月現在、稼働しているのは6か所。
※2 「品目別収集区分一覧表」。大阪市の公式ホームページにも掲載。
(取材・文=冨永陽香)