事故物件住みます芸人、松原タニシによるラジオ番組『松原タニシの生きる』に、認知症の医療を専門とする「しおかぜメモリークリニック」の南辰也医師が出演。スタジオを飛び出してのクリニックでの訪問ロケで、医院としての取り組みや、認知症患者との思い出深いエピソードについて聞いた。
兵庫県神戸市中央区にある『しおかぜメモリークリニック』は、一見するとクリニックには見えない外観が特徴だ。内装も木のぬくもりが感じられるインテリアとなっており、まるでカフェにいるような落ち着いた雰囲気に松原も驚きを見せていた。
「精神科や心療内科は受診までのハードルがどうしても高いので、病院っぽくないような作りにしたかったんです。実際、クリニックがオープンするまでは近隣住民の方も『新しくカフェができるのかな?』と思っていたみたいです」(南医師)
同クリニックでは認知症医療をメインとしているが、心療内科・精神科・内科・リハビリテーション科などの診療も行っており、各診療科目を担当する医師が常勤・非常勤含め15~6人在籍しているのだそう。
また『しおかぜメモリークリニック』では、認知症医療に関する診察だけでなく、認知機能の低下を予防するプログラムも施設内で実施している。
クリニックの3階には重度認知症患者のためのデイケア施設がある。そこでは、認知症患者が習字をしたり折り紙を折ったりといった“作業療法”を行っているのだと言う。時には皆でテレビゲームをすることもあるらしく、中にはゲームを楽しみに施設へ来る人もいるのだとか。このような「手先の運動」は認知機能の低下予防に最適だと南医師は語る。
「患者さん同士で話しながら手作業をすること、そして共有体験を通して皆で一つの事をやり遂げるというのがこのプログラムにおいては大事なポイントです」(南医師)
南医師は、この認知機能の低下予防プログラムを実施する中で、思い出深いエピソードがあると言う。
「認知症を患っている方はどうしても記憶力が低下してしまうのですが、ここでの体験(プログラム)の事は『楽しい』と覚えてくれる方がけっこういらっしゃるんですよ。中には、休診日なのに来院してクリニックが開くのを待っていた方もいて……。日時の感覚は曖昧なのに、『ここは楽しい場所だ』という記憶があって、場所まで覚えて来てくれたっていうのは驚きでした」(南医師)