姫路信用金庫(本店:姫路市十二所前町105)がこのほど、取引先企業の景気の方向性を調べるための「景気動向調査」を行い、その結果を「ひめしん景況レポート(2022年3月期)」としてまとめた。22年1月から3月を対象期間に、444社を対象に調査を実施したところ、取引先の景況感は4四半期続けて改善したことが分かった。
調査の対象となったのは、兵庫県播磨地域から明石市、神戸市にかけての企業で、製造業と非製造業(卸売、小売、運輸・サービス、建設、不動産)の計6業種にわけられる。中小企業や地場産業の業況を反映した調査となっているのが特徴だ。
全体の業況判断DI(「景気が良い」と感じている企業の割合から、「景気が悪い」と感じている企業の割合を引いた指標)は、全業種の総合で▲17という依然として厳しい水準ながら、4四半期連続で改善した。業種別では、製造業で前期から+13ポイントの▲2、建設業は前期から+11ポイントの▲1と改善し、小売業は前期から横ばいの▲48、卸売業は前期から▲12ポイントの▲22、運輸・サービス業は▲5ポイントの▲25、不動産業で▲19ポイントの+4と前期から悪化した。この業況判断DIは、一般的に0を中立ポイントとし、プラス幅が大きくなるほど景気が良く、マイナス幅が大きいほど景気が悪いことを表している。
また、原材料・仕入価格の上昇による中小企業への影響について調べた結果、価格の上昇が収益に及ぼす影響について「悪影響がある」と回答した企業は約7割に上った。また、約9割の企業で、1年前と比較して原材料・仕入価格が上昇しているが、そのうち約3割の企業が、それを販売価格に転嫁できていないという。また、「販売先への納期の調整」や、「代わりの商品の調達」に苦慮している現実が浮かび上がった。このような情勢の中、今後の仕入先の見直しについて検討を行っている企業も見受けられるという。
個人の消費については、まん延防止等重点措置の解除により人流、物流ともに活発化し、持ち直しの動きが見られた。力強い回復には至らなかったが、持ち直し基調にはあるという。また、ほとんどの業種でおおよそコロナ前の水準近くまで回復したが、個人消費の影響を大きく受ける飲食店を含む小売業と、部品不足や納車の遅延に苦しむ自動車整備業を含む運輸・サービス業については依然としてコロナ前の水準には及んでいない。
来期(6月期)の予想については、3月上旬の調査時点で、全体で今期からやや改善する予想。しかし、エネルギー価格が高値で推移したり、急激な円安による原材料価格の上昇が企業物価を押し上げ、さらにウクライナ情勢などのリスクが業況を押し下げる可能性もあるため、先行きを注視する必要がある。
姫路信用金庫は、こうした厳しい状況を地域とともに乗り越えていくため、「ともにプロジェクト」に取り組む。その一環として、兵庫県立大学と共同で研究開発に取り組む企業を対象に助成金を支給する「ひめしん研究開発支援助成金」を行っている(応募は5月末日まで)。