2021年10月に全国約200館で公開されたアニメーション映画『神在月のこども』。日本神話を題材にした同作品は、⽇本の⽂化を世界へ発信するアニメーションの⼀つとして全世界から注⽬を浴びている。
同月には、「モントリオール国際リース賞映画祭2021」で最優秀監督賞など主要5部⾨にノミネート。また、22年2⽉には、動画配信サービス「Netflix」を通じて全世界に配信を開始。1週間で約266万時間(161万⼈鑑賞相当)の視聴時間を記録して、同サイトのその週の「Global Top10(他⾔語)」で8位に輝いた。
このたび、同作品の原作者でありコミュニケーション監督を務める四戸(しのへ)俊成さんが、ラジオ番組『平田オリザの舞台は但馬』(ラジオ関西)に出演。自身初の長編アニメーション制作の舞台裏を語った。
旧暦10月には全国の神々が島根・出雲に集い、翌年の縁を結ぶ会議を行う……といわれることから、日本各地では和名で “神無月”と呼ぶ旧暦10月を、出雲では“神在月(かみありづき)”と呼ぶ。
アニメ映画『神在月のこども』はこの由縁をモチーフに、主人公の少女が東京から島根までを自身の足で駆け抜けるロードムービー。出雲に集まった神々をもてなすための「馳走(=ごちそう)」を運ぶ宿命を背負う主人公は、各地の神社で秋の恵みを授かるのだが、その中で、兵庫県香美町の「金刀比羅(ことひら)神社」も登場する。
映画製作のロケハンは3年にも及んだという。理由は二つある。一つは「神無月」の時期にロケハンを行わないとリアルな“自然”の色づきを再現できないこと。二つ目には、本作を通じて「日本の原風景やそこにある文化をアニメーションに翻訳して世界に伝えたい」という四戸さんの強い思いがあった。
「アニメ製作のチームはそれぞれの能力を発揮していただくため、監督も複数います。シナリオを書くためのロケハンから製作へと進むにつれて、美術監督・撮影監督・音響監督……と関わる人が増えていく。その皆さんに『神在月』を見て、聴いて、製作してほしかった」(四戸さん)