【国内施設で初の快挙】 絶滅危惧種「フサヒゲルリカミキリ」の繁殖に成功 兵庫・伊丹市昆虫館 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

【国内施設で初の快挙】 絶滅危惧種「フサヒゲルリカミキリ」の繁殖に成功 兵庫・伊丹市昆虫館

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 伊丹市昆虫館では、絶滅危惧種の「フサヒゲルリカミキリ」の飼育下繁殖に、国内の施設で初めて、成功した。環境省と連携して飼育を始めてから4年。生息地の環境を観察し飼育環境を整えるなど、試行錯誤の末の快挙となった。

「フサヒゲルリカミキリ」はカミキリムシ科の昆虫で、体長は15ミリから18ミリ。触角に毛束(ふさ)があり、体が深い瑠璃色をしていることからこの和名がついた。

フサヒゲルリカミキリ(提供:伊丹市昆虫館)

 “人によって適度に管理された草原”に生息するが、そのような環境はほぼなくなり、現在確実に生息しているのは、国内では岡山県内の一部の地域のみとなっている。近年の調査では、生息する個体数は100匹前後とされていて、環境省レッドリストでは絶滅危惧種「IA類」、種の保存法による国内希少野生動植物に指定されている。

 同昆虫館では、平成30(2018)年から環境省と連携して「フサヒゲルリカミキリ」の飼育を始めた。令和3(2021)年には、環境省の「保護増殖事業」の対象種となり、同昆虫館と東京・足立区立生物園の2館で、生息域外保全として飼育に取り組んできた。

 飼育し始めた当初は、その年に飼育した世代を成虫にすることができなかった。令和2(2020)年に、生息地から親を採取し、得た卵を飼育。翌年、雌雄1ペアを羽化させる(成虫まで育てる)ことができた。そして、そのペアを繁殖させ、今年、60匹を羽化させることに成功した。

 幼虫のエサは、ユウスゲやニッコウキスゲの生の花茎だが、新鮮なエサの調達はとても難しい。そこで、昆虫館の敷地内でユウスゲを栽培したり、神戸市の六甲高山植物園から協力を得たりして、エサの供給体制を整えた。また、生態について詳しいことがわかっていないため、担当者が足しげく生息地に通い、生態や生育環境を観察。特に冬場の幼虫の管理が難しいことから、越冬用の飼育容器を開発することで生存率を高めることができた。生息地の土の温度や気温も計測して、飼育環境の参考にしたという。

フサヒゲルリカミキリの幼虫(提供:伊丹市昆虫館)

 同昆虫館では、6月4日(土)から20日(月)まで、「フサヒゲルリカミキリ」の生体の展示を行う。担当者は、「これからも種の保存のための取り組みを進め、こうした保全活動について知ってもらいたい」と話している。

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