南からは「梅雨入り」の便りが届いています。関西はというと、日本列島の南岸に梅雨前線がありますが、今年の入梅はまだ少し先のようです。
さて、この「梅雨」。皆さんは何と読みますか? 「つゆ」? それとも「ばいう」? 辞書を開いて気づいたのですが、じつは説明が多く書かれているのは「ばいう」でした。
『広辞苑 第七版』(岩波書店)で比較すると、「ばいう」が関連項目も含め11行だったのに対し、「つゆ」はわずか3行。他の辞書でも、私が調べた限りでは同じような傾向が見られました。
『新明解国語辞典 第八版』(三省堂)には、「つゆ【梅雨】『ばいうの季節』の意の和語的表現」とあります。「和語」というのは、「日本古来の言葉」で「大和(やまと)ことば」とも言います。
そもそも、なぜ「つゆ」を「梅の雨」と書くのでしょうか。
『「言いたいこと」から引ける大和ことば辞典』(東京堂出版)には「ばいう」での解説はなく、「つゆ」の項目に次のように記載されています。
「夏の季語。梅の実が熟すころなので、『梅雨』と当てて書く。音読して『ばいう』ともいい、湿気が多く、かびが生じやすいことから、『黴雨』とも書く。(※一部抜粋)
「黴=かび」という字を当てるのは、初めて知りました。確かにジメジメした季節ならではの表現です。
一方、前出の広辞苑には「つゆ」の項目に、次のように書かれていました。