6月、 梅雨入りの時期に設定された雑節 「入梅」(2022年は6月11日)を前に、全国的に青梅の摘み取りが始まり、梅酒づくりのシーズンが到来する。


6月6日は「梅の日」。室町時代の1545(天文14)年、京都・賀茂神社の例祭(現在の葵祭)で、時の後奈良天皇が梅を奉納し、五穀豊穣を祈る神事を執り行ったところ、雷鳴がとどろき、雨が降り注いだという。

こうした中、チョーヤ梅酒株式会社(本社・大阪府羽曳野市)では、5月30日から和歌山県紀州産の南高梅(なんこううめ)の漬け込み作業が始まった。
梅の収穫高が日本一(※)の和歌山県では、2月中旬まで気温が低く推移し、今年は平年より10日ほど遅い梅の花の満開を迎えた。開花期間は平年より5日ほど長く、開花期間中も比較的暖かい日が多くあり、蜜蜂による受粉が良好に進み、順調に着果したという。その後の雨量にも恵まれ、梅の作柄は平年並み。
1959(昭和34)年、梅酒の製造・販売を始めたチョーヤでは、この時期に梅の実の肥大状況を見ながら漬け込みがスタートし、チョーヤが制定した「梅酒の日」である「入梅」前後をピークに約1か月続く。
※農林水産省によると、2020(令和2)年産の梅の収穫量は全国で約7万1100トン。このうち和歌山県では4万1300トンと、全国の58%を占める。


国内の梅は多品種だが、チョーヤでは「梅酒」に適した紀州産南高梅を中心に、古城(ごじろ)梅、白加賀(しろかが)梅などを使用。特に和歌山県紀州産南高梅は果肉が厚く、酸度が高いのが特長。
手摘みされた梅は洗浄後、最大容量10万リットルの熟成タンクに漬け込まれる。光、熱、空気など外部からの影響を極力受けないように設計された熟成タンクで、梅の産地や品種、熟度ごとに管理し、約1年以上じっくりと熟成される。

チョーヤは老舗の梅酒製造・販売メーカーとして“本物”へのこだわりを追求し、本格的に世界市場を視野に入れている。南高梅の漬け込みは、いわは”一丁目一番地”の工程。
チョーヤ企画広報推進部は「梅雨に入るこれからの蒸し暑い季節には梅酒がぴったり。オンザロックや水割り、ソーダ割りなどいろいろな飲み方で楽しんでいただきたい」と提案する。