「ボトムスをジャワ更紗にする場合、無地のトップスを合わせるといいです。この夏でいうと、麻素材のシャツやプルオーバーを合わせると今っぽくなりますよ。あとは、トップスにTシャツ、ジャワ更紗のスカートの下にデニムパンツのレイヤードスタイルもおすすめです。ゆったりしたシルエットで体型を問わず着られますし、10年着用しても色落ちしません」(塩崎さん)
小豆さんの自宅には、ジャワ更紗を仕立てた自身用の服が40~50着ほどあるという。生地は100枚以上にものぼる。「生地は、季節ごとに自宅のタペストリーとして飾ったり、ソファーカバーにしたり、カーテンの代わりにすることもあります。周りをシンプルなものにすることで、生地が映えますよ」と小豆さん。
特に貴重な生地もあるというので見せてもらった。マフラータオルのような細長い生地。一定の長さごとに異なる模様が配されている。
「現地の言葉で”無病息災”を意味する生地で、グリンシンというもの(布)を持っています。バリ島テンガナン村で作られているダブルイカット(縦糸も横糸も染めて織りあげたもの)で、古来の製法を守って作られています」と、ここまで聞くだけでも貴重なことが伺える。
さらに驚くことには、「糸の染色から完成まで、長いものでは5年以上の歳月を費やすというこの布は、世界でも最も貴重な布の一つです。グリンシンは、家族の幸せを祈りながら織られ、その込められた願いがそのまま布の名前になったようですね」とのこと。小豆さんは「現地に行って自分の足で探した物なので思い入れも強く、私の財産だと思っています」と、慈しみを込めるように話してくれた。
一つ一つの生地に思い入れを持って接する小豆さん。お店では衣服以外にも、カバンや壁に飾るパネルを取り扱っているので、まずはそうしたものから手に取ってみるのもいいかもしれない。詳しくは、店のインスタグラム(@yanty_kobe)で見ることができる。
(取材・文=バンク北川)
【YANTY】
ジャワ更紗を使用した洋服や雑貨を販売。オーナー自らが現地へ赴き、手をかけて作られたアジアの布を買い付け、仕立てている。六甲ライナー・アイランドセンター駅直通の神戸ファッションマート3階。営業時間は午前10時~午後6時。水曜定休


