今年も梅雨の時期を迎えた。近年、「ゲリラ豪雨」という言葉を耳にするようになったが、とくにこの時期は大雨による災害が発生しやすく、注意が必要だ。神戸市の災害対策拠点「神戸市危機管理センター」(神戸市中央区)では、梅雨や台風シーズンに向け、安全に過ごせるよう広く注意を呼びかけている。
◆大雨の被害が起こりやすい場所に注意
神戸市内は山や坂道が多い。特に急傾斜地では、がけ崩れや土石流、地滑りに気を付ける必要がある。また河川付近では洪水の恐れもある。さらに、アンダーパス(立体交差・掘り下げ式道路の下部)や地下施設では、内水反乱(降水量に排水機能が追い付かず、溢れること)による浸水にも注意が必要だ。
◆水害を経験した神戸から発信
大雨では、土砂災害や河川等の氾濫、浸水被害などが、単独または複合して発生する可能性がある。同市では、過去に「阪神大水害」(昭和13年、1938年)などの歴史的な大水害を経験、多数の死者・行方不明者が出た。
同市には、大雨が降ると土砂災害が起こりやすい地形的特徴がある。まず、六甲山地の存在。山と海の間の距離が近いことから、急勾配の地形が多い。加えて、地質が花こう岩のために風化してもろくなりやすい。それらの要因から、過去の水害でも大規模な土石流や土砂崩れによる被害が大きくなった。
そこで同市は、国や県と協力して砂防ダムの整備を進めてきたものの、近年も平成30年(2018年)7月の「西日本豪雨」の際に、同市灘区篠原台で土砂災害が発生。市内では死者・行方不明者こそ出なかったが、けがをした人や数か月の避難所生活を送った人もいた。
災害は身近で起こる可能性がある。ハザードマップで、自宅が「土砂災害警戒区域」や「河川の洪水・浸水想定区域」に入っているかどうかの確認も必要だ。
◆災害への備え 防災グッズも用意を
防災グッズや備蓄は「3日ぶんの生活を保てる」内容が理想と言われる。ラジオや懐中電灯、現金、常備薬のほか、雨をしのげるものや、虫よけグッズ、マスクや消毒液などもまとめておくと良い。神戸市民向けには、同市発行の「くらしの防災ガイド」の「非常持ち出し品チェックリスト」に一覧が記載されている。
無料の出前講座も実施中。防災士が地域へ出向いて、土砂災害や洪水からの避難ルートを説明する。5人以上の参加で申し込むことができる。