兵庫『明石だこ』が激減! 不漁の背景に「地球温暖化・栄養塩不足」 漁師が厳しい現状と取り組み語る

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 7月2日は半夏生。関西を中心に、半夏生には「たこ」を食べる風習があることから、この時期が旬ということもあって、食材としてのたこの話題に触れることも多い。一方で、生物としてのタコに目を移すと、国内屈指の名産地である兵庫県・明石では、近年その数が激減しているのだという。

 このたび、関西の朝の顔としてテレビなどで活躍する気象予報士・防災士の正木明がパーソナリティーを務めるラジオ番組『正木明の地球にいいこと』(ラジオ関西、月曜午後1時~。アシスタント:荻野恵美子)、2022年6月6日放送回に、江井ヶ島漁業協同組合(兵庫県明石市大久保町江井島)の代表理事組合長を務める橋本幹也さんが出演。タコつぼ漁業での漁の状況や環境問題について、現在の活動や対策などを語った。

明石だこ(提供:江井ヶ島漁業協同組合)

「明石焼」(地元では「玉子焼」)でもおなじみの『明石だこ』。タコつぼ漁では、週の前半の夜明けに海に出て、深さ3〜10メートルの深さ(※1)に沈めたタコつぼを引き上げる。それを2~3日のサイクルで行うという。

明石でのタコつぼ漁の様子(提供:江井ヶ島漁業協同組合)
明石でのタコつぼ漁の様子(提供:江井ヶ島漁業協同組合)

 近年、そのタコつぼ漁にも地球温暖化や栄養塩不足の影響が出ており、3〜4年周期で漁獲量が減ってきているそう。もともと寒さに弱いタコは、水温が10度以下になると生存率は下がるというが、昨季は「暖冬だったにもかかわらず激減した」と、橋本さんは話す。

 原因を突き詰めきれないところもある中で、考えられるのは『エサがない』ことという。一昨年の2020年は、ノリが色落ちするなど、極端に栄養塩が足りなかった時期と「タコの産卵時期が重なり、漁獲数が減ったのを肌で感じた」と橋本さんは深刻な表情で語った。

 対策として、産卵用タコつぼの投入や抱卵ダコの再放流、100グラム以下の小さな個体は獲らないとする活動も行なっている。その一環として、産卵時期を過ぎるお盆の頃からメスのタコを放流。禁漁期間を設けているが、それでもなかなか増えていないという厳しい状況だ。

 前向きな取り組みとしては、「明石タコつぼオーナー」制度を設けたり、環境学習として「干しだこ」の教室を開いたりしていて、橋本さん自身も活動に参加している。また、今年11月13日に行われる『全国豊かな海づくり大会』に向け、明石市内の5つの小学校の児童に絵を描いてもらったタコつぼを海に放つ計画も進めている。

「干しだこ」教室の様子(提供:江井ヶ島漁業協同組合)

 そういった努力を重ねているからこそ、橋本さんは「海にゴミは出してほしくない」と、環境保全への協力を求める。そして、子どもたちに、海を知って、海で遊んでもらいたいと願いながら、「明石のたこは日本一だと思います。ぜひご賞味ください」とにこやかに呼びかけた。

※1 沖の方には、さらに深い漁場もあります。

つぼから出てきた「明石だこ」(提供:江井ヶ島漁業協同組合)
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