さらに田母神は元部下の保証人として借金を背負うことになり、悩んだ挙句ゆりちゃんに動画配信の広告収入を自分にも分けるよう要求します。つまり、田母神はこれまでの態度を180度変え、ゆりちゃんを支えてきた見返りを求める行動を起こします。しかし売れっ子YouTuberとなった彼女は、恩を仇で返します。
ゆり「田母神さん、分配金は私の好きなようにしていいって言いましたよね」
田母神「うん、まあ」
ゆり「ですよね、だから無理です」
田母神「そっか」
ゆり「だって、あとから約束を変えるっておかしいですよね。仕事って普通、そういうもんじゃないですか」
それどころか、ゆりちゃんはYouTubeで田母神を小バカにしたり、誕生日会に呼ばないなどして田母神を傷つけます。田母神から見れば人気YouTuberになったとたん豹変したサイテーゲス女です。
田母神はついに自分のYouTubeチャンネルを立ち上げ、暴露系 YouTuberとしてゆりちゃんへ反撃を始めます……。
主人公の田母神をムロツヨシが演じています。有名になり田母神に冷たい対応をするYouTuberゆりちゃん役は岸井ゆきの。田母神と同じイベント会社に務める後輩で、人の悪口を大げさに相手へ伝えて引っかき回す癖のある梅川を若葉竜也が演じます。
光と闇を演じ分ける俳優たちの人物描写が優れていて、現実の動画配信メディアをめぐる人々をそのまま写しとっているように感じられます。
この映画はコメディーではありません。シリアスな作品です。動画投稿社会ともいうべき現代に対して、それでいいのかと強いメッセージを投げかけています。観客は“YouTuberに深く関わると人生が狂う”と背筋が寒くなる、ちょっとえげつない物語です。監督は吉田恵輔。脚本は監督が書き下ろしたオリジナル作品です。
映画の前半で幸せな時間を共有していた田母神とゆりちゃんは、やがてお互いに憎しみ合い、罵り合って、さらにそれをYouTubeにアップし続ける醜い投稿合戦を繰り広げます。後半に激しくストーリーが進みます。映画『神は見返りを求める』は6月24日(金)公開。(SJ)
◇映画『神は見返りを求める』
※上映日程は、作品の公式サイト・劇場情報でご確認ください。
出演:
ムロツヨシ 岸井ゆきの
若葉竜也 吉村界人 淡梨 栁俊太郎
田村健太郎 中山求一郎 廣瀬祐樹 下川恭平 前原滉
監督・脚本:吉田恵輔
主題歌:空白ごっこ「サンクチュアリ」 挿入歌:空白ごっこ「かみさま」(ポニーキャニオン)
音楽:佐藤望
配給:パルコ
(C)2022「神は見返りを求める」製作委員会
※吉田恵輔監督の「吉」、正式表記はつちよし(土に口の「よし」)