関西の夏祭りのトップを切って「愛染祭(あいぜんまつり)」が30日、四天王寺支院・愛染堂勝鬘院(あいぜんどうしょうまんいん・大阪市天王寺区)で始まった。 7月1日まで。同院は聖徳太子が593年(飛鳥時代・推古天皇元年)に建立し、日本最古の夏祭りとされる。 2014年には大阪市指定無形民俗文化財となった。
今年のテーマは「疫病退散」と「世界平和」祈願。新型コロナウイルス感染対策を施し、5年ぶりに宝恵駕籠(ほえかご)パレードが復活。ウクライナから避難する女子学生も参加した。
江戸時代に商売繁盛や縁結びを祈願し、芸妓が宝恵駕籠に乗り参詣した「宝恵駕籠行列」は、昭和初期あたりまで北新地や今里新地の芸者がパレードの主役を務めたこともあったという。現代では浴衣姿の「愛染娘」が乗り、谷町筋を「愛染さんじゃ、ほえかご、ぺっぴんさんじ、ほえかご、商売繁盛、ほえかご」と、掛け声をかけるパレードに姿を変えた。
毎年6月30日から開催され、(かつては7月2日までの3日間)浴衣姿の参詣者が多く、大阪・船場商人が古くから使う言葉で「いとさん(お嬢さん)」、「こいさん(小さなお嬢さん)」がこの祭から浴衣を着始めることから「浴衣まつり」とも呼ばれている。
しかし、近年は一部の若者によるバイクの暴走、大量のゴミのポイ捨てなど迷惑行為が収まらず、近隣住民からの苦情が相次ぎ、新型コロナウイルス禍で本来の夏祭りとしての原点に立ち返るため、パレードや露店の営業を中止し、開催時間を大幅に繰り上げるなど規模を縮小していた。
公募のほか、中国やベトナムからの留学生も愛染娘として祭りに参加していたことから、今年はウクライナ学生支援活動の一環で受け入れた避難者の女子学生3人が宝恵駕籠に乗った。境内ではウクライナ避難者支援の募金活動も行われている。