尼崎南交通安全協会会長の陶国(すえくに)隆男さんは「本当に寂しい。尼崎の中心地の幹線道路で、雨の日も風の日も、行き交う人や車を見守ってきましたからね。近未来建築としても貴重な球体を、何とか保存出来ないかという動きもありますが、現実問題として、これだけの大きな建造物を維持させるのは難しい。
陶国さんは「尼崎には歴史を感じさせる大切なものが、まだまだ多く残る。『ものには歴史あり』。そこに人々の思いや地域の歴史を感じてほしい」と話す。
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7月1日、近畿地方は高気圧に覆われ、連日の猛暑日となったこの日、尼崎南警察署・西分庁舎として最後となる「交通安全七夕の集い」が開かれた。赤い記念塔にとっても最後のイベント。新型コロナウイルス感染拡大防止のため中断していたが、2年ぶりに近くの保育園の子どもたちが訪れ、一日交通安全大使に任命された。
「みんな、うちの署員と同じくらい、制服が似合ってるね」。
真鍋克巳署長が5歳児の13人、1人1人にメダルを首にかけた。「暑い中、頑張ってるな。元気やな」。
短冊に交通安全への思いを書いて笹に結んで記念撮影した後は、赤い祈念塔に入り最後のアナウンス。初めてマイクを手にして「保育園からのお願いです。車に乗ったらシートベルトをしましょう!」「信号を守りましょう!」と緊張気味に呼びかけた。
5歳の子どもたち。これからの人生で「赤い、丸いところに入ったことがある」と何人が思い出すのだろう。
長女を連れた20代の母親は「私は尼崎生まれの尼崎育ち。子どものころからこの前を通るたびに、親から『この丸いモン(物)、グルグル回るんやで』って言われてて、内心いつ回るんだろうと思っていました。すでにある風景だから特別に意識しなかったけれど、いざ取り壊しとなると寂しくなります」と祈念塔を見上げた。


