砂時計は揺れに強く、天候に左右されない構造のため、マゼランなど、西暦1500年頃の船乗りたちに愛用され、大航海時代には欠かせないツールとして活躍したそうです。持ち運びに便利で、何度でもひっくり返して使えるため、現代でも台所用品やインテリアとして重宝されています。
◆生活の延長上の時計
日時計、水時計、砂時計のほか、日本では奈良時代に「香盤時計」と呼ばれる、お香が燃える速度を利用した時計が存在しました。落ちた灰で線を書き、お香が燃えた長さを測定して時間がわかります。
また、西洋では同じく火を使う「ろうそく時計」が、フランスで使われていました。これらは「燃焼時計」とも呼ばれ、室内で使うことを想定した時計であることが特徴です。しかし、こうした時計はどちらかと言えば、家具の延長的な物であり、実用的とは言えませんでした。そのため、最終的に砂時計に主役の座を奪われることになったのです。
◆機械式時計の登場とさらなる小型化
世界初の機械式時計は、1300年代に北イタリアや南ドイツに登場した「塔時計」だといわれています。鐘を鳴らすことが主な目的で、「錘(おもり)」の重量で時計を動かしていました。いわゆる「クロック」(ラテン語のクロッカが語源)です。ただ、錘で動かすシステムでは、構造的にどうしても巨大なものになります。
そこで、ゼンマイを巻き上げ、それがほどける力をエネルギーとする機械式時計が1510年にドイツで発明されます。現在では一般的な仕組みですが、ゼンマイを動力源とする機械式時計は当初、円筒形で、首からかけて使っていました。ドイツの技術者ピーター・ヘンラインが製造した円筒形の持ち運びできる機械式時計は、ニュルンベルクにあるドイツ国立博物館に収蔵されています。