『DV』相談件数が増加 コロナ禍による社会や家庭の環境の変化で「暴力夫と“元サヤ”」も… | ラジトピ ラジオ関西トピックス

『DV』相談件数が増加 コロナ禍による社会や家庭の環境の変化で「暴力夫と“元サヤ”」も…

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――仮に離れることができたとしても、それで解決するわけではありませんよね。

【德山弁護士】 その通りです。私が弁護士として一番意識を置いているのも、DV被害者の再出発支援です。「加害者から離れれば良い」「別れたら解決する」ということは決してありません。被害者の心の傷は深く、社会への復帰にも多くの困難が待ち受けているのです。

 また子どもがいる場合は、必ずしも親と子どもを引き離すのが正解とは限りません。もちろん虐待や連れ去りのおそれがあったり、子どもが心底「会いたくない」という場合は別ですが、どんな事情があっても子どもの親であることは変わりません。ですから、夫婦間にDV問題がある場合でも、できる限り子供との面会交流を実現するために、自分の事務所に面会スペースを作り、親同士が顔を合わずに面会できる環境を作っています。

 定期的に親に会うことで、子どもにとっても親というものをイメージできるので、将来自分が家庭を築く時の父親・母親像を作りやすいですし、適切な面会機会を設けることでより解決しやすく、相手が子供を思う気持ちがあれば、養育費をちゃんと払ってもらえることも多いです。

――今後に向けては?

【德山弁護士】 DV問題のみに関わらず、紛争に巻き込まれている方は、ものすごいストレスの中にいらっしゃいます。また、紛争の中で相手を訴え、相手に反省させようとしても何も変わらないことが多く、報われないことも多々あります。

 ただ、過去を清算していい再出発をできるタイミングでもあります。紛争に至った原因をさぐり、これまでの自分自身の在り方を振り返り、精算する気持ちで向き合えば、本人の中で紛争、これまでの夫婦関係を客観的に見ることができます。そうなれば、再出発へのスタートを切ることができるようになるでしょう。私はそのような場面で、できる限り気持ちの面で寄り添うことをライフワークとして続けて行きたいと思っています。

※1)警察庁 配偶者からの暴力事案等の相談等状況

◆德山育弘(とくやま・いくひろ)弁護士 ハートリーフ法律事務所(尼崎市)
同志社大学卒業後、平成19年弁護士登録。声をあげられない人が泣き寝入りしないよう、弁護士を志す。日本司法支援センター(法テラス)所属の弁護士として、法テラス阪神法律事務所の第1号弁護士として兵庫県に赴任。その後尼崎市内で独立開業。尼崎市の教育委員やDV支援事業アドバイザーとしてDV被害者の支援に取り組む。

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