2025年大阪・関西万博を運営する日本国際博覧会協会は13日、会場のシンボルとなる大屋根(リング)などの新たなパース(透視)図を公開した。パース図の更新は、2020年12月以来となる。7月18日には開幕まで1000日となる。
大阪・関西万博会場のシンボルとなる大屋根(リング)は、 会場全体をつなぐ役割を担い、パビリオンワールドの上にかかる環状のデッキで、世界最大級の木造建築物となる。 大阪市内で会見した大阪・関西万博会場デザインプロデューサーを務める建築家・藤本壮介氏は、「多様でありながら、ひとつ」という大阪・関西万博の理念を表現し、各施設に向かうための通路となり、 屋上には「リングスカイウォーク」と名付けられた展望できる歩道が設けられる。
大屋根には環境への配慮や鉄骨使用時のコストとの比較などを鑑みて、国内外のスギやヒノキを用いる。完成時のサイズは、建築面積(水平での投影面積)約6万平方メートル(甲子園球場の約1.5個分)、カーブが傾斜する「バンク」形状となっており、高さは内側12メートル・外側20メートル、直径が約650メートル、デッキの幅は約30メートル、1周すると約2キロメートルとなり、一般の建物なら3~5階建てで、木造建築物としては世界最大級という。
藤本氏は、「現在、世界ではSDGS(持続可能な開発目標)やカーボンニュートラル(炭素中立・CO2削減)の観点から、木造建築が世界的に見直され、2025年にはさらにこの動きが加速すると予測されるが、ヨーロッパ諸国に比べて日本はまだ立ち遅れている」と指摘する。
そして「そもそも日本の木造建築には、奈良の世界遺産、東大寺(世界最大規模)や法隆寺(世界最古)などに代表される伝統がある。この伝統を世界に示し、世界をリードする立場でありたい」と話した。
こうした中、木で柱と梁(今回使用する木材は45センチ×45センチを予定)を組み合わせる日本古来の『貫(ぬき)”』という構造を現代によみがえらせられないか、という考えに行き着いた。