サッカー・J1のヴィッセル神戸は3日、JリーグYBCルヴァンカップ準々決勝の第1戦をホーム・ノエビアスタジアム神戸で行う。対戦相手はアビスパ福岡、キックオフ予定は午後7時。この試合はヴィッセルのホームゲームでは初の「声出し応援運営検証対象試合」となり、対象のエリアから約2年半ぶりにサポーターの声援が響くことになる。
今シーズンはアジアクラブナンバー1を決めるAFCチャンピオンズリーグ(ACL)に参戦しているヴィッセル。そのため、ルヴァンカップはグループステージが免除され、プライムステージ(決勝トーナメント)からの出場に。2015年シーズン以来となるベスト4進出、そして、同カップ戦初優勝を目指して、まずはホームの地で最初の90分の戦いに臨む。
ヴィッセルは7月末から8月にかけて、真夏の酷暑のなか、タイトな日程で連戦の真っ最中。ACLで勝ち進めば1か月間で最大8試合を戦うことになる。「我々はかなりの連戦になり、大会が多く、今年はかなり暑い。この状況で、より多くのメンバーで戦っていくしかない。もちろんケガ人とか、いろんな難しい状況もあり、人数もそろわないが、いるメンバーでなんとかしたい」というのは、吉田孝行監督。チームは総力戦で夏の大事な戦いに挑む。
そのなかでやってくるルヴァンカップ。チームはいま、J1で17位と苦境を迎えているが、J1残留に最大限努めつつ、「ルヴァンカップを捨てるという考えはない。たとえメンバーが変わっても、前回の天皇杯(4回戦)もそうだったが、自分が勝てる自信があるメンバーを選ぶということは、チームで常に話している」と、指揮官はクリムゾンレッドの選手たちを信じ、必勝を期する。
そこで期待がかかるのは、ルヴァンカップで注目される若き世代だ。
その1人、FW小田裕太郎選手(20)は、吉田監督就任後の公式戦全6試合に出場。特長であるスピードと突破力をいかして、チームの攻撃を活性化している。7月30日のJ1第23節柏レイソル戦では、チームは0-1と敗れたものの、再三にわたって相手DFを翻弄し、好機を作っていた。「いつもどおり、自分のプレーや特長を出すことと、結果にはこだわりたい」という2001年生まれのパリ五輪世代のアタッカーには、ヴィッセルでの今シーズン初得点が待望される。
また、小田選手は2020年からトップチームでプレーしていることもあって、プロ入り後、サポーターの生の大声援や応援歌(チャント)のなかで試合をしたことがないという。「たぶん初めてだと思いますが、すごく楽しみだし、平日ですけどそういうのは関係なしにわくわくはしています。高校生のときとか(トップチームの試合を)観に行ったとき、サポーターの方たちが応援歌だったりを歌っているのを見て、そこでプレーできるのはうらやましいなと思っていたので。プロに入って、それを味わえるのは楽しみです」というクラブ生え抜きのFWが、サポーターの声の力に後押しされてどんなパフォーマンスを見せてくれるのかも見どころだ。