兵庫県警・生活経済課の男性警部(49)が飲酒し、帰宅途中に路上で寝込み、事件関係者ら約400人分の氏名などが記載された捜査資料を紛失した問題で、兵庫県警は該当する約400人に対する経緯説明と謝罪を14日から始めた。
紛失した資料は2通。男性警部が捜査に関わった事件で逮捕した容疑者の住所、職業、氏名、生年月日のほか、事件関係者約400人の氏名などが記載されていた。 なお事件の被害者に関する情報は含まれていない。これまでのところ、個人情報が悪用された形跡は確認されていないが、捜査資料が入った手提げかばんは見つかっていない。
経緯説明と謝罪は電話で行っており、氏名しかわからない人物については、捜査資料などを精査して、本人と直接連絡を取れるようにするという。
男性警部は12日、捜査拠点を置く警察署から移動して、兵庫県西宮市内の居酒屋で飲酒し、徒歩で帰宅途中、商業施設付近の路上で寝込んでしまったという。翌朝目覚めた時に、捜査資料が入った手提げかばんがなくなっていることに気付いた。本人は「週明け(15日)に本部へ行くために持ち出した」と説明している。
兵庫県警では7月、神戸市内の警察署で交通事件の捜査を怠ったことを上司に隠すために、関係書類などの公文書を自宅へ持ち帰った20代の男性巡査長を書類送検(公文書毀棄容疑)している。
捜査機関以外でも、こうした問題が相次ぐ。6月には、兵庫県尼崎市で、新型コロナの給付金支給業務を市から委託されていた業者の従業員が、全市民約46万人の個人情報が入ったUSBメモリが一時的に所在不明となった。この従業員が泥酔し、徒歩で帰宅途中に路上で寝込んだ際にUSBメモリが入った手提げかばんを紛失した(3日後に発見)。
■兵庫県民からは怒りと不安の声
神戸市内の60代の男性は「そもそも、データ化されずに、紙(書類)をベースにして持ち出すことができる対応に『時代遅れ』を感じる。兵庫県警には資料を持ち出さなくても、イントラネットなど組織内のプライベートネットワークで閲覧できるような環境は整備されていないのか」と話した。
また、西宮市内の40代の女性は「仮に逮捕する前の容疑者の情報だったら、と思うとぞっとする。もしこうした情報が外部に漏れて容疑者が逃亡すれば、兵庫県警はどう責任を取るのか。今年の夏は行動制限がないとはいえ、コロナ感染拡大第7波の最中に、路上で寝込むほどお酒を飲むこと自体、一般市民と感覚がずれているような気がする」とあきれた様子で話した。
兵庫県警の内規では、許可なく捜査資料を外部に持ち出すことを禁じている。男性警部は資料の持ち出しの許可を取っておらず、兵庫県警は警部の処分を検討する。