サッカー・J1のヴィッセル神戸は14日、2022明治安田生命J1リーグ第26節(AFCチャンピオンズリーグによる延期分)のFC東京とのホームゲームに臨む。会場はノエビアスタジアム神戸、キックオフ予定は午後7時。その一戦のメンバーが発表され、ヴィッセルは10日のJ1第29節名古屋グランパス戦から先発を1人変更。MF小林祐希選手が新たにスターティングメンバーに名を連ねた。一方、MFアンドレス・イニエスタ選手とFW大迫勇也選手は今節もメンバー外となった。
9日間でJ1リーグ戦のホームゲーム3連戦の最中にいるヴィッセル。10日の名古屋戦では好機を作りながら無得点に終わったものの、リーグ戦では6試合ぶりに無失点に抑え、勝点1を獲得した。ただし、27試合を終えた時点で勝点25の暫定17位と、J2自動降格圏内に。J1残留へ、残された試合数は7となり、厳しい戦いが続く。今回のホームゲーム、FC東京戦ではサポーターの応援を後押しに、是が非でも勝利、勝点3を奪いたいところ。また、このあとには、順位の近いガンバ大阪(15位、勝点29、29試合消化)やアビスパ福岡(16位、勝点28、28試合消化)との試合も控えているだけに、ここで勝ってライバルとの差を詰めることがクリムゾンレッドには求められる。
この一戦で注目は、古巣対決となるFW武藤嘉紀選手。昨夏にヴィッセルの一員となってから、初めて青赤のチームとの対戦を迎える。推進力をいかして、前線から攻守にわたって貢献度の高い11番は、けがから復帰後、前節の名古屋戦で約2か月ぶりに公式戦でフル出場を果たした。まだまだ完全な状態とは言えないだろうが、チームを活気づけるストライカーのJ1第21節ジュビロ磐田戦(7月9日、1-0)以来のゴールを期待せずにはいられない。天皇杯準々決勝・鹿島アントラーズ戦後、「全員でJ1残留を成し遂げなくちゃいけない」と気合いを込めた武藤選手。その思いを叶えるためにも、まずは育成組織時代から歩んできた古巣を相手に恩返し弾を決めて、その存在を示したい。
また、その武藤選手へいかにボールをつなぐかというところは、チームの課題。そこで期待がかかる1人が、今夏に加入し、右サイドで不可欠な存在となっているMF飯野七聖選手だ。惜しみなく上下動を繰り返しながら攻撃に守備にと奔走する背番号2は、右からの精度の高いクロスが持ち味。また、ACLラウンド16の横浜F・マリノス戦では、果敢な飛び出しからゴールも記録しており、得点に絡むプレーへの期待が高まる。「このチームの勝利のために自分の持っている力を全部ピッチで表現しようとだけ思っている」と語る飯野選手は、この試合ではサイドバックでのプレーが予想されるが、そこは本職。名古屋戦後半ではそのポジションで躍動し、「久々に後ろをやってみて、『ああ、やっぱりここなんだな』と思いましたし、すごくしっくりはきました」と振り返っていただけに、この試合で躍動する姿が楽しみだ。
そして、得点へのアシストにこだわりを持つという飯野選手は「自分でもちろん点も狙いに行きますし結果を残したいっていう気持ちは強いですけど、やっぱりクロスは僕の武器なので、僕の突破だったり仕掛けから、得点が生まれるような活躍をしたい」とコメント。左の汰木康也選手や酒井高徳選手らとともに、サイドから相手を切り崩していきたい。
一方、守備で最近、チームの軸となっているのが、こちらも今夏に加入したブラジル人DFマテウス・トゥーレル選手だ。的確なカバーリング、対人の強さだけでなく、名古屋戦で見せたようなビルドアップ能力の高さも特長の助っ人は、試合を重ねてチームだけでなくサポーターの心もつかんでいる。
今回の相手、FC東京は、ディエゴ・オリヴェイラ選手、アダイウトン選手、レアンドロ選手、ルイス・フェリッピ選手と、前線に個の能力の高いブラジル人選手をそろえているなか、彼らを跳ね返すことのできる背番号15のプレーも見どころの1つだ。「(FC東京は)縦に速い、スピードのある、迫力ある攻撃をするチーム。外国籍、ブラジル人についても、個で突破できる力もありますから。我々はひとりで守るのではなく、チームとして(相手に)いいところを出させないように、しっかりとチームで準備してきたことを出そうと思っている」と、相手への対策もぬかりない。また、攻撃面では、名古屋戦で決定機を迎えるもシュートが相手GKの好守にあい得点にならず、「悔しくて寝れなかった」。それでも、「次のチャンスを待つ。それまで準備している」というトゥーレル選手のセットプレーでの高さをいかしたゴールも待望されるところだ。
残暑厳しいなか、タイトな日程での試合となるが、1つも落とせない戦いが続くヴィッセル。吉田孝行監督は2010年の「奇跡の残留」の経験を踏まえて「一番大事なのは、みんなが団結して、強い気持ちで、同じ絵を持ってトライして行くということ」と熱く語る。攻守に一丸となったプレーを、ホーム・ノエスタで発揮できるか。声出し応援が可能となるこの一戦、サポーターのチャント、応援の歓声を力に、ヴィッセルは今度こそここでJ1ホーム通算150勝を達成したいものだ。
ヴィッセル神戸 メンバー
先発
GK 18 飯倉大樹
DF 2 飯野七聖
DF 17 菊池流帆
DF 15 マテウス・トゥーレル
DF 24 酒井高徳
MF 5 山口蛍
MF 25 大﨑玲央
MF 49 小林祐希
MF 16 汰木康也
FW 22 佐々木大樹
FW 11 武藤嘉紀
控え
GK 1 前川黛也
DF 19 初瀬亮
DF 23 山川哲史
DF 3 小林友希
MF 33 扇原貴宏
MF 7 郷家友太
FW 21 藤本憲明
監督 吉田孝行