黒田清輝の“幻の大作”、127年ぶりに公開 大阪・山王美術館「ベストコレクション展」 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

黒田清輝の“幻の大作”、127年ぶりに公開 大阪・山王美術館「ベストコレクション展」

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「湖畔」などの傑作で知られる近代日本洋画家の巨匠、黒田清輝が20代に描いた油彩画「夏(野遊び)」(1892年)が山王美術館(大阪市中央区)で127年ぶりに公開されている。1895年の展覧会に出品されて以来、長らく所在不明とされてきた“幻の大作”で、このほど移転した同美術館の開館記念展「山王美術館 ベストコレクション展」の目玉の1つ。

大阪市中央区に移転、オープンした山王美術館(外観パース、同館提供)
大阪市中央区に移転、オープンした山王美術館(外観パース、同館提供)

 同作は、黒田が20代の頃、留学していたパリ郊外のグレー村で手掛けたもので、緑の野原で思い思いにくつろぐ数人の女性たちが描かれている。

黒田清輝「夏(野遊び)」1892年、山王美術館蔵
黒田清輝「夏(野遊び)」1892年、山王美術館蔵

 同美術館の師子堂惠信学芸員によると、黒田が記していた当時の日記には、「夏をテーマにした絵を描いている」という趣旨の、同作と思われる記述がたびたび登場。途中、行き詰まったのか、「制作をいったん取りやめて他の作品にかかる」などと記した箇所もあるという。

 また、同作と同じ時期に描かれた「朝妝(ちょうしょう)」などの有名な作品数点は戦災で燃えており、現存しない。師子堂学芸員は、「この作品は焼失した作品とは別な場所に置いてあったのではないか」と推測する。

展示の様子
展示の様子

 さらに、所在不明になる前に出展された、明治美術会秋季展覧会(1895年)目録の作品タイトルの中に「下絵」とあることから、「黒田は絵の出来に満足しておらず、より大きな作品に仕上げたかったのでは。当時のフランス画壇は裸体を最上位と捉えていたので、黒田も最終的には裸体女性の群像を描きたかったのかもしれない」と見ている。

小林古径「琴」(左部分)1929年、山王美術館蔵
小林古径「琴」(左部分)1929年、山王美術館蔵
小林古径「琴」(右部分)1929年、山王美術館蔵
小林古径「琴」(右部分)1929年、山王美術館蔵

 「ベストコレクション展」ではそのほかロートレック「タピエ嬢」(1882年)、ユトリロ「雪のサン=リュスティック通り(冬のサクレクール)」(1940年ごろ)などを初公開。また、ルノワール「裸婦」(1918年)、藤田嗣治「家馬車の前のジプシー娘」(1956年)、小林古径「琴」(1929年)などの同館を代表する名画も鑑賞できる。
2023年1月30日まで。同館06-6942-1117。


◆開館記念展「山王美術館 ベストコレクション展」
会場:山王美術館(〒540-0001 大阪市中央区城見2丁目2-27)
会期:2022年9月2日(金)~2023年1月30日(月)
開館時間:10時~17時(入館は16時半まで)
休館日:火・水曜(11月23日は開館)、年末年始(2022年12月27日~2023年1月4日)
入館料:一般1,300円、高大生800円、中学生以下500円(保護者同伴に限り2人まで無料)
問い合わせ:同館電話06-6942-1117
https://www.hotelmonterey.co.jp/sannomuseum/

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