【北村さん】 初期は白色だったのですが、汚れが目立ちまして……。現在は、黄色のみ販売しています。文字の色味ですが、実は赤色の「ケロリン」の周りに使われているのは青色なんですよ。長期的に使っても絶対にはげないように、中に埋め込む印刷をしています。黄色い桶に青色を印字しているため緑色になっていますが、実はインクの色は青色です。
――ケロリン桶の反響と需要は?
【北村さん】 ノスタルジックな気持ちになるという声はよくいただきますね。あとは「丈夫で長持ちする」というご意見もよくいただきます。発売当初からバーコードもなく、1ケース60個入りで袋にも入れずに販売していますが、かなり耐久性が強いので長持ちする商品となっています。現在も、常に注文のお問い合わせをいただいています。
実は、ケロリン桶を作る際の金型(かながた)は、業務用も個人用も同じものを使用しているんです。そして、その金型は世界に1個しかありません。広告を入れていたこともあるので、その度に金型も修正して合わせています。
現在は、1週間に1020〜1200個ほど製造しています。銭湯に鳴り響く「コーン!」という音からもわかるように、一般的な桶の3倍の樹脂を使用しているのでかなり厚手な作りになっています。そのため、すべて職人の手作業で製造を行っているんですよ。バリ取り(樹脂を加工した際にできる突起を取りのぞく作業)なんかも、製造当初から変わらずすべて手作業です。
また、ケロリン桶は関東と関西で大きさが違うんです。関西はひと回り小さい仕様になっており、金型は関東版(A型)と関西版(B型)のそれぞれ1個ずつに分かれています。
――なぜ大きさが異なるのですか?
【北村さん】 銭湯の構造と文化の違いです。関東ではシャワーを浴びてから湯船に入りますが、関西には湯船に入る前に、湯で直接体を流す「かけ湯」文化があるため、ひと回り小さく製造しています。販売数は関東の方が多いですが、関西で使われているのは、京都や兵庫にある昔ながらの旅館やお風呂屋さんが多い印象ですね。
――現在はどこで「ケロリン桶」が手に入りますか?