身近にありすぎて、ほとんど振り返ることのない「コトバ」に焦点をあて、さまざまな角度からコトバについて考える特別展「Homō loquēns 『しゃべるヒト』―ことばの不思議を科学する」が、大阪府吹田市の国立民族学博物館で開催されている。2022年11月23日(水・祝)まで。
展示場には「コトバ」があふれている。ことばについての展示というと外国語の話と考えるかもしれないが、もっと違う角度からコトバに迫る。ここで取り上げるのは「手話言語」と「音声言語」。視覚や聴覚といった違いはあるものの、ヒトはどのようにコトバを習得するのか、人間の言語と動物のコミュニケーションの違いは、ことばを話す時、ヒトの身体・脳はどのようになっているのかなど、言語学だけでなく文化人類学、工学、脳科学、認知心理学など様々な分野の研究者の協力のもと、その研究や成果を紹介する。
同じ言葉・表現でも、言語によって違う意味になることがある。例えば「ame」は、日本語では「雨」とも「飴」ともとれる。外国語では違う意味になる。手話でも、日本語では6を表す形が、香港では8、イギリスでは7になるという。
また、鳴き声によってピンチを知らせるシジュウカラなど動物のコミュニケーション法や、ヒトが言葉(音)を発する時、脳はどの部分が動いているのか、また声帯や横隔膜はどのように動いているのかなどを、模型や映像で紹介する。
一方、人と言語のかかわり方は、ライフイベントによって変化することもある。社会で様々な形で言語と付き合いながら活躍する人たちの言語ヒストリーをインタビュー映像で紹介するほか、方言や世界の言語などの多様性もわかる展示となっている。
展示は、日本語、英語の他、映像による「日本手話」の解説がつく。視覚に障がいがある人のために点字もつけた。特別展の実行委員長を務める国立民族学博物館の菊澤律子教授は、「言語の研究はとても範囲が広く、誰にとっても面白いことがあるはず。展示を通して1つでも見つけてもらえれば。」と話す。
特別展「Homō loquēns『しゃべるヒト』―ことばの不思議を科学する」
国立民族学博物館 特別展示館 (大阪府吹田市千里万博公園10-1)
解説言語:日本語・日本手話・英語
2022年9月1日(木)~11月23日(水・祝)
休館日 水曜日(但し11月23日(水)は開館)