そんな技術の進化とともに年々増えていったのが「曲数」です。最終版の歌本が発行された時には25万曲以上、2022年9月現在にはなんと33万曲以上を収録。本自体の厚さはゆうに電話帳を超えるほど。初版はどうだったかというと、収録は3000曲ほどで厚さも0.8センチ程度だったそう。
皮肉にも、自慢の楽曲数すら“歌本続行不可”をうながした一因で、「曲数増加でどんどん本を分厚くせざるをえない」「楽曲配信スピードの加速による更新頻度増加」など、発刊自体のハードルがどんどん高くなっていった模様。
こうしてみると「歌本消滅」は、もはや必然だったように思えます。
「DAM」を運用する第一興商(本社:東京都品川区)にも聞きました。
DAMでは歌本にあたる「目次本」を発行してきましたが、カラオケ楽曲全体を網羅した「ベスト目次本」の最終発行は2019年11月、新曲配信分に特化した「新曲目次本」の最終発行は2020年3月だったそうで、現在DAMではリモコン「デンモク」が主流に。
「デンモクの発売以降、目次本との共存を模索し、試行錯誤を重ねてまいりました。同時に紙資源の使用を減らすことが環境問題への取組みとして貢献できると考え、お客様からは多大なご理解を頂いています」(第一興商)
目次本の廃止は環境問題への配慮でもあったことを教えてくれました。
「マイクで歌っているところをプリントシールにできる『PriDAM』というサービスや、人気ゲーム『ダンスダンスレボリューション』をカラオケで楽しめる『DAM-DDR』などを展開しておりました。いずれも時代のニーズに合ったコンテンツを生み出してきました」(第一興商) 。
歌以外にも楽しめるコンテンツの開発・リリースに積極的に挑戦。そのときどきのトレンドを的確に捉えて話題となりましたが、時代の流れとともに止むなく消えていったサービスもいくつかあったことを知ることができました。
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コロナウイルス蔓延防止意識の高まりもあり、そもそもカラオケを楽しむ機会が遠のいている昨今ですが、カラオケは世界でも知られる「日本発祥の文化」。消えていったものもありますが、よりにエンタメ性の高い世界観を発信するため各企業が切磋琢磨しています。今後の革新的な進化に期待ですね!
(取材・文=宮田智也 / 放送作家)