林歳彦氏(会社経営者・環境活動家)と、フリーアナウンサーの田中大貴(元フジテレビアナウンサー)がパーソナリティーを務めるラジオ関西『としちゃん・大貴のええやんカー!やってみよう!!』。2022年9月26日放送回では、農業プロデューサーの野村知成さんをゲストに迎え、農業を通して社会問題を解決したいという野村さんの思いや、現在の活動内容について話を聞いた。
2018年から、ノンフライ・ノンオイル・無農薬・無添加の手作り素焼き野菜&フルーツチップス『suyakki(すやっき)』の製造・販売を始めたという野村さん。ビジネスが発足した当時は「まだ農家さんとの深いつながりはなく、規格外の野菜やフルーツを買わせていただいているという間柄でした」と語っていたが、ある自然災害をきっかけに農家と強い絆が生まれたのだそう。
「2019年に、長野県の千曲川が台風による大雨で決壊したのを覚えている方は多いと思います。当時、僕が取引していた小布施(町)のリンゴ農園さんもその被害を受け、リンゴがみんな流されてしまったと連絡が来たので、一度現地へ行ってみることにしたんです。実際の現場を見てみると、流されなかったリンゴは地面に落ちて傷がついていたり泥がついていたり……。でも、洗って割ってみると、中はきれいなんですよ、新鮮そのもので。だからこれをどうにかしたい、と思ってサンプルでいくつかもらって帰って『suyakki』にしてみたら、普通のリンゴと変わらないおいしさだったんです。それで、出来上がった『suyakki』を農家さんにプレゼントしたら『この技術はすごい、これなら市場に出せないものでも息を吹き返す』と喜んでもらえて……。僕たちとしても、商品を廃棄するより買い取らせてもらった方が農家さんも助かるだろうし、こちらも買い取った商品で販売ができてフードロス解決につながるという考えだったので、これをきっかけに農家さんとの絆が深まりました」(野村さん)
この件を機に、農業をはじめとした第一次産業をより強く意識するようになったと話す野村さん。現在は「suyakki」だけでなく「Let’s農業」という、有機・自然栽培食材セットの販売も行っている。
「『Let’s農業』の野菜・果物はオーガニックにこだわっています。規格外で市場に出せない商品や、余ってしまった商品を販売することで農家の方々を手助けできますし、消費者の方々には安心して食べられるオーガニック食材を提供できるので、誰にとっても良い商品なのではないでしょうか」という野村さんは、さらにオーガニックにこだわる理由も明かす。
「日本は食料自給率が低いだけでなく、世界でいちばん化学肥料や農薬を使っている、と言われているんですよ。その中でも『ネオニコチノイド』という農薬(ネオニコチノイド系殺虫剤)があるんですが、例えば授乳期間中の人がこの農薬の付いたお米や野菜を食べた場合、母乳を介して子どもへ移行し、その母乳で育った子どもが大人になって、また『ネオニコチノイド』のついたお米や野菜を食べて……と、2代、3代にわたって農薬が蓄積されてしまうそうなんです。それって、僕たちの子どもや孫、ひ孫のことを考えると深刻な問題ですよね。これらの社会問題を、農業を通じて解決できればと思っています」(野村さん)
最後に、今後の展望について、野村さんは「農家を助けることは、日本人、特にこれからの日本を支える若い世代や未来を生きる子どもたちを助けることにつながるので、一次産業は日本全体で大事にしないといけない産業だと思います。今後も、未来にバトンをつなげられるような活動をしていきたいですね」と前を向いていた。