兵庫県明石市議会の4つの会派が、泉房穂市長に対し、「相反する考えを排除する姿勢が、危険で不適切」などとして、問責決議案を12日の本会議に提出、可決された。
問責決議自体は辞任を迫るだけの法的拘束力はないが、泉市長は2023年4月30日の任期満了に伴い辞任、政治家としても引退することを表明した。
問責決議案では、 以下の3点について「自己の主観だけで判断しており、客観性がない」などと批判している。
▼2021年8月、新型コロナウイルスの影響下での経済支援策として市民全員に5千円分のサポート利用券(金券)を配布する事業について、市議会が経費削減を求めて議案を「継続審査」としたが、泉市長はこれに沿わず、例外的に市長が議会の議決に代わり意思決定する「専決処分」で実行した件は職権乱用に当たる
▼同年12月、市内の工場の緑地面積率の引き下げ条例について、議員が提出した条例案が本会議で可決されたものの、泉市長は 「パブリックコメント(意見公募)など必要な手続きを経ておらず、憲法や市自治基本条例に違反している」と主張、 議会に議決のやり直しを求めた。再可決後、泉市長は斎藤元彦兵庫県知事に審査を申し立てて棄却されており、条例公布を遅らせた件は議会制民主主義に反し、議会軽視である
▼2022年2月、泉市長が自らのツイッターで特定企業の法人市民税課税額が載った書面を無断で掲載し、法人税割の「0」が続いている部分に色付けして「ゼロってなんだかなぁ」とコメントした件は、厳しい守秘義務が課せられた地方税法22条に抵触する
■「市長、もういい加減にしてください」議員が発言
この問題をめぐっては8日、市立小学校の式典で同席した市議会議長と市議に「賛成したら許さん」「次の選挙で落としたる」などと発言、同日中に撤回し、謝罪している。2人が所属する会派は、市長に対する問責決議案を議会運営委員会に提出していた。
泉市長は取材に対し、一言一句は覚えていないとしたうえで「市議会とは一緒にやっていきたいのになぜ問責なのか、といういらだちがあった聞いた側がそういうのであれば否定しない」と述べ、「言葉遣いと内容はアウトで申し訳ない」と釈明している。
泉市長は議会の最後、改めて2人の議員に対し、暴言についての謝罪をしたうえで、「11年半の市長生活で、積もり積もった怒りが爆発した」と理由を述べた。そして自身の進退に触れ、「2023年4月の任期満了をもって市長のみならず、政治家としても引退する」と表明した。
泉市長は2019年、国道用地の買収遅れをめぐり、職員に「(建物に)火つけてこい」などと恫喝(どうかつ)したとして辞職。出直し市長選で当選した。その後も市議に「お前なんて辞めてまえ」と発言するなどしている。
12日の議会では、問責決議案を提出した会派の1人が、「これまでにも繰り返された暴言。市長、もういい加減にしてください」と述べた。